福田正博が見た浦和レッズの2021「最大の収穫は世代交代の推進」。来季への提言も (2ページ目)

  • text by Tsugane Ichiro
  • photo by Sano Miki

【シーズン途中の補強も成功】

 小泉佳穂(前・FC琉球)、明本孝浩(前・栃木SC)、平野佑一(前・水戸ホーリーホック)という、昨季や今季途中までJ2でプレーしていた選手たちがチームの推進力となり、伊藤敦樹(流通経済大)、大久保智明(中央大)といった大卒ルーキーも躍動した。

 これが当初の狙いどおりだったのかはわからない。ただ結果的にリカルド・ロドリゲス監督の下で、世代交代が進んだのは紛れもない事実だ。

 そこに酒井宏樹(前・マルセイユ)、江坂任(前・柏レイソル)、キャスパー・ユンカー(前・FKボデ/グリムト)、アレクサンダー・ショルツ(前・ミッティラン)といった実績のある選手たちを加えた。

 ここも以前の浦和にはなかったことだ。シーズン途中の補強は後手を踏むのが常だったが、今季は素早く動いて酒井、江坂、平野を獲得した。その選手たちがスタメンに定着することで、チームが停滞せずに成長できたのも大きかった。

 選手が大幅に入れ替わって若返ったことは、クラブ経営の面にもプラス要素をもたらしたはずだ。これまでの主力選手たちが年齢を重ねたが、高額な年棒に見合わない成績が続いていた。これを是正して、健全なクラブ経営ができる体制へ変わるチャンスを手にした。

 いずれにしろ、これができたのはロドリゲス監督のサッカーが、ポジショナルプレーを重視していることが大きいだろう。

 ポジショナルプレーはボールを保持するポゼッションサッカーと誤解されがちだが、状況に応じて各選手が適正なポジションに位置し、相手に対して優位性を確保していくやり方だ。

 適正なポジションニングには状況に応じて一定の規則性があり、難しいプレーをしなくてもボールをゴール前までつなげていくことができる。このため特定の選手に依存せず、誰が出ても同じようにチャンスをつくり出せる。これは言い換えれば、無理して年俸の高い選手を使うサッカーをする必要がないということになる。

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