福田正博が見た浦和レッズの2021「最大の収穫は世代交代の推進」。来季への提言も

  • text by Tsugane Ichiro
  • photo by Sano Miki

福田正博 フットボール原論

■浦和レッズが天皇杯を制して、2021シーズンを終えた。今年はリカルド・ロドリゲス監督の下、クラブにポジティブな変化が見られたと言っていいだろう。そんな今季の浦和の戦いぶりと、来季に向けた課題を福田正博氏に解説してもらった。

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【世代交代を推し進められた】

 浦和レッズが天皇杯を制し、久しぶりにタイトルを手にした。

 槙野智章が劇的な決勝ゴールを決めた。クラブに加入して10年。今季限りでチームを去ることが決まってから、さまざまな感情が入り混じる日々を送ったはずだ。ただ、彼がすばらしいのは、それを乗り越えてポジティブに気持ちを切り替えられるところにあると思う。だからこそ、最後の最後に大きなプレゼントが届いたのではないだろうか。来季のヴィッセル神戸でのパフォーマンスも期待している。

 今シーズンの浦和を振り返ると、リカルド・ロドリゲス監督の下で世代交代を推し進めることができたのが、最大の収穫と言っていいだろう。

 今季限りで退団する槙野をはじめ、これまで浦和の主力を務めてきた選手たちのほとんどは、現在北海道コンサドーレ札幌を率いるミハイロ・ペトロヴィッチ監督時代に、彼のサッカーを具現化するために集められた。そのためペトロヴィッチ体制では各選手の特長が存分に生き、浦和は2016年シーズンまでは、常にJリーグで優勝争いができた。

 しかし、2017年シーズン途中にペトロヴィッチ監督が解任されると、それまでの輝きは失われ、時に使い勝手の悪い存在になることもあった。なぜなら、監督が変われば志向する戦い方は変わり、選手に求められる能力や役割も違ってくるからだ。

 本来ならクラブの仕事というのは、監督の目指す方向性に沿った選手を揃えていくことにあるが、長らく浦和はこれができなかった。

 それだけに、今シーズンの浦和の変革は驚きでもあった。とくにスカウティングは見違えたもの。名より実を取るとはよく言ったもので、J2をよくスカウティングした成果を発揮したと思う。

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