なぜサッカーはPK戦で勝負をつけるのか。かつては再試合、抽選、CKの数で勝者を決めた時代があった
高校サッカー選手権でよく見られるのが、規定時間で勝敗がつかなかった時に行なわれるPK戦だ。サッカーの試合以外の部分で勝敗が決まることに今でも賛否があるが、そもそもなぜサッカーはPK戦が採用されるようになったのか。その歴史を追う。
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【最初は再試合を繰り返していた】
サッカーというのはあまり得点が入らないスポーツだ。1863年にイングランドで協会(FA)が結成されて「協会式フットボール」(つまりサッカー)の統一ルールが作られた時、新ルールの宣伝のためにエキシビションマッチが行なわれた。だが、この「世界初のサッカー試合」もスコアレスドローだったという。
「あまり点が入らない」ということは、当然、引き分けが多くなる。
では、試合が引き分けに終わった時にはどうしたらいいのか?
リーグ戦では「勝点制」が採用された。1888年にイングランドで世界初のサッカーのリーグ戦「フットボール・リーグ(FL)」が結成された時に決まった「勝利チームには勝点2、引き分けの場合は勝点1」という勝点制は、その後、すべての国のリーグ戦で採用された(勝利の勝点が3になったのは、FL発足から93年が経過した1981年のことだった)。
問題はノックアウト式のトーナメントだった。試合が引き分けに終わった場合にも、すぐに次のラウンドに進むチームを決めなくては大会が進行できなくなってしまう。
1871年に始まった世界最古のサッカー大会であるFAカップでは、再試合で勝負を決めた。
FAカップでは抽選で対戦相手と「どちらのホームか」が決まる。そして、試合が引き分けに終わると、相手チームのホームに舞台を移して再試合が行なわれた。1991年までは再試合でも決着がつかなかったら再々試合、それでも勝負がつかなければ再々々試合......と勝敗が決まるまで試合が繰り返された。最高で6試合目まで行なわれた記録が残っているそうだ(さすがに、今は再試合が引き分けに終わった場合は延長戦とPK戦で決めている)。
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