Jリーグの移籍事情に異変。今季のトレンド、シーズン途中の移籍で大物選手たちが躍動した

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

J1リーグ2021/移籍が功を奏した男たち
第2回:シーズン途中の移籍組

 今季J1を振り返ると、ひとつのトレンドと言ってもいいほど大きな動きとなっていたのが、シーズン途中の移籍である。

 もちろん、シーズン途中の移籍がこれまでになかったわけではない。例えば、J2降格危機にあるクラブが他クラブの"余剰戦力"を緊急補強する、といったケースは珍しいものではなかった。

 だが、今季の動向に関していえば、そうした前例とはまったく意味合いが異なるものだったと言っていいだろう。

 代表的なのは、柏レイソルから浦和レッズへ移籍したMF江坂任だ。

 柏での江坂は背番号10を背負い、今年3月には初めて日本代表にも選出されるなど、選手としての充実期にある主力中の主力だった。にもかかわらず、シーズン途中に、それも海外クラブではなく、他のJクラブへ移籍するとなると、もはや前代未聞の大物移籍だった。

シーズン途中に柏レイソルから浦和レッズに移籍して話題となった江坂任シーズン途中に柏レイソルから浦和レッズに移籍して話題となった江坂任この記事に関連する写真を見る ヨーロッパなら、"冬の移籍"で大物選手が動くことも珍しくはないが、いよいよ日本も、本場並みに移籍が活発化してきたと言えるのかもしれない。

 当の江坂には、注目を集めるがゆえの重圧もあっただろうが、浦和移籍後は全試合(16試合)に出場し、5ゴールを記録。1トップやトップ下、あるいはサイドハーフなど、システムや選手の組み合わせによってポジションを変えながらも、常に攻撃の中心として期待に違わぬ活躍を見せ続けた。

 異例のことではあったが、貴重な戦力を獲得した浦和はもちろん、江坂自身のキャリアアップという面でも、プラスに働いた電撃移籍だったのではないだろうか。

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