新天地で復活、吉と出た男たち。今季J1のタイトルは「移籍組」がカギを握っていた
J1リーグ2021/移籍が功を奏した男たち
第1回:シーズンオフの移籍組
川崎フロンターレの連覇で幕を閉じた今季J1だが、来季へ向けた選手の移籍が早々に発表され始めている。
選手がより多くの出場機会やより高い待遇を求め、移籍を決断するのはプロとして当たり前のこととはいえ、最近はその動きがより活発になっている印象を受ける。よくも悪くも選手たちがドライに割り切り、日本的な義理や人情に縛られることがなく、自らのキャリアを考えられるようになったのかもしれない。
今季を振り返っても、移籍によって才能が開花したり、復活を遂げたりという選手が少なくなかった。
そこで今季J1でプレーした移籍組を3タイプ、すなわち、(1)昨オフの移籍、(2)シーズン途中の移籍、(3)J2クラブからの移籍(個人昇格)に分け、それぞれで活躍が目立った選手を3回に渡って振り返ってみたい。
今季名古屋グランパスに移籍して、復活を印象づける活躍を見せた柿谷曜一朗この記事に関連する写真を見る まずは、今季開幕前に新天地を求めた移籍組だが、そこで活躍を見せた筆頭格と言うべきは、名古屋グランパスのFW柿谷曜一朗だろう。
アカデミー(育成組織)からセレッソ大阪育ちの柿谷は、長らくクラブの顔としてC大阪で活躍してきた。2013年シーズンは自己最多の21ゴールを記録し、翌2014年には日本代表としてワールドカップにも出場している。
だが、昨季は24試合出場でわずか1ゴール。出場試合数こそ目立って少なくはないが、出場時間が752分(1試合あたり約31分)にすぎなかったことを考えれば、およそ満足できる数字だったとは言い難い。
そこで、柿谷は心機一転、名古屋へ移籍。柿谷の"セレッソ愛"を考えれば、簡単な決断ではなかったはずだが、これが吉と出た格好だ。
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