中村憲剛と佐藤寿人が若手に伝えたいこと。「ラクな選択をして生き残れるほど、この世界は甘くない」 (3ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

中村 繰り返しになりますが、自分が期待している自分にどうなるかと考えた時に、不正解のジャッジはできないもの。きつくてもそっちに行く。得るものがあるほうに行く。ラクな選択をして生き残れるほど、この世界は甘くないんです。

 今、ここで頑張ってもうちょっとやるか、すぐに帰って楽をするか。もちろん、毎日がんじからめにやる必要はないと思いますが、大げさに言うとそういうことです。楽しいほう、ラクなほうを選べば、どうなるかは考えなくてもわかること。

 そういう選手は得てして、試合に出られないと人のせいにします。ベクトルが外に向いてしまう。周りのせいにすれば、ラクですからね。僕にもそういう時期がありました。

 でも、自分がやったことは全部、自分に跳ね返ってくるんですよ。自分のやっていることは、自分で責任を取らないといけない。誰も責任を取ってくれないんですよ。自分がどうなりたいか、自分がどうしたいかで、すべてが決まっていくと思います。

---- ひとつ興味があるのは、プロの世界で生き残るためには、ストロングポイントを伸ばしたほうがいいのか、ウイークポイントを補ったほうがいいのかということです。おふたりの見解をお聞かせください。

佐藤 当然、両方ですよ。ストロングは伸ばしていかないといけないですし、弱みがあれば使われづらいですから。

中村 その答えにはなるのかわからないですけど、寿人がやってきたことには成功のヒントが隠されていると思うんですよ。FWだから、何より数字が求められる。チームが変わったり、チームメイトが変わったりするなかで、どうやって数字を残せるのか、FWとしてチームに有益な存在であり続けられるかを彼はとことん考え抜いて、生き残ってきた選手なんですよね。

 寿人にもよく言うんですけど、この体格であれだけの結果を残せたのは、本当にすごいこと。周りとの呼吸や兼ね合いで点を取るタイプだから、周りとしっかりコミュニケーションを取って、出し手の考えをくみ取りながら、自分の特長やタイミングを伝えてきたんだと思います。

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