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森保ジャパンにも影響? 攻撃的な上位陣とそれ以外に二極化するJリーグ (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • 山添敏央●写真 photo by Yamazoe Toshio

 川崎対横浜FMは12月4日、今年のJリーグ最終戦のカードとして一戦をまじえる。勝ち負け以上に注目すべきは、どちらのサッカーが攻撃的か、だ。事実上の消化ゲームながら、成績とは別種類のプライドが、ピッチ上で火花を散らすに違いない。

 3位を確定させているヴィッセル神戸も、概念的には攻撃的に分類されるサッカーを展開する。Jリーグ全体を見渡せば、上位のチームほど攻撃色は強い。5バックになりやすい3バックを採用するチームは、中位から下位に見られる。おのずと、川崎対横浜FMのような撃ち合い必至の、エンタメ性溢れるカードに出会う確率は低くなる。

 J2に目を転じると、守備的なチームが占める割合はさらに増す。そこにはJ1の優勝争いとは別世界が広がっている。

 日本のサッカー界はひとつの方向を向いているわけではない。川崎や横浜FMのサッカーが、日本のサッカー界に思ったほど強い影響力を与えていないとも言える。どの方向に進むべきか、議論さえ湧いていない。攻撃的か守備的かの対立軸も鮮明になっていない。日本サッカー協会を筆頭に、そのことを重要に感じる人があまりにも少ない気がする。日本代表のサッカーが中途半端になるのは、当然といえば当然だ。

 スペインでは1980年代から90年代にかけて、論争が起きた。その頃、スペインサッカーは欧州で勝てずにいた。イタリア、ドイツに大きな遅れを取っていた。攻撃的でいくべきか、守備的でいくべきか。意見は真っ二つに分かれていたという。そこで声を大にして発信したのが、故ヨハン・クライフだった。スペインは「勝てなくてもいいから攻撃的でいくべきだ」とするその主張で、まとまることになった。

 クライフの提唱する攻撃的サッカーは各地に浸透。クライフサッカーを信奉する指導者も続々と出現した。その成果は90年代後半から現れはじめ、2000年代に入るとUEFAリーグランキングで首位に立ち、欧州サッカー界の盟主の座に就いた。その勢いは、クラブチームのみならず、代表チームにも波及。ユーロ連覇、W杯優勝という形となって現れた。

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