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森保ジャパンにも影響? 攻撃的な上位陣とそれ以外に二極化するJリーグ

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • 山添敏央●写真 photo by Yamazoe Toshio

Jリーグクライマックス2021

 2位に勝ち点18差をつけて優勝した昨季に続き、川崎フロンターレは今季も、2位に13差(11月27日時点)をつける圧勝劇を展開した。

 2017年、2018年、2020年、2021年と、鬼木達監督は、過去5年間で4度、川崎を優勝に導いたことになる。ちなみに森保一現日本代表監督がサンフレッチェ広島時代に収めた実績は、5年間(2012年-2017年)で3度の優勝だった。森保監督を日本代表監督に招聘した一番の理由を「日本人でナンバーワンの実績を残した指導者」と述べたのは田嶋幸三サッカー協会会長だが、この価値観に基づけば、実績で上回る鬼木監督は、条件さえ整えばいつ代表監督に招かれてもおかしくない、まさに有力候補という話になる。

 もっとも、広島時代の森保監督と鬼木監督とでは、目指しているスタイルが異なる。攻撃的とは言えない3バックでJ1優勝を重ねた森保監督に対し、鬼木監督のサッカーは攻撃的だ。優勝回数を重ねるごとにその色を強めている。就任して3年間は4-2-3-1をメインに戦ったが、2020年からは、数ある4バックのなかでも攻撃色が最も強いとされる4-3-3を採用している。

 森保監督も代表戦で4-3-3をここ数試合、採用している。守備的な3バックでJ1を制した監督が、なぜ4-2-3-1(あるいは4-4-2)を経て4-3-3に変化したのか。川崎のサッカーに感化されたと考えるのは不自然ではない。しかし、森保監督は180度やり方を変えたその経緯を説明していない。そこに森保ジャパンの問題の根を見る気がするのだが、それはともかく、2年前に鬼木監督が4-3-3に変更した理由も気になるところだ。

川崎フロンターレを過去5年で4回J1優勝に導いた鬼木達監督川崎フロンターレを過去5年で4回J1優勝に導いた鬼木達監督この記事に関連する写真を見る 深読みをすると、それは2019年シーズンに、成績はもちろん、攻撃的サッカー度においても、横浜F・マリノスに大きく上回られたことに原因があると踏む。アンジェ・ポステコグルーが展開した攻撃的サッカーに、大きな影響を受けたものと考えられる。

 ポステコグルーはシーズン途中、4-3-3から4-2-3-1に移行したが、それでも断トツの攻撃色を誇った。それを拠りどころに優勝を飾った。川崎は横浜FMに盟主の座を奪われることになった。それこそが鬼木監督が4-3-3の採用に踏み切る動機だったと推測する。

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