「デュエル勝利数=最強」ではない? サッカーのデータは背景を知ってからが面白い (3ページ目)

  • text by Tsugane Ichiro
  • photo by AFLO

 日本のJリーグでも、さまざまなデータが公式サイトで公開されている。ランキングを上位から追うだけではなく、その意味を想像することでサッカーはより楽しくなる。

 トラッキングデータのスプリント回数を見れば、試合別スプリント回数は古橋亨梧(ヴィッセル神戸→セルティック)が4位に入っているが、それ以外は上からズラッと前田大然(横浜F・マリノス)の名が並ぶ。

 このスプリント回数は、Jリーグの場合、時速24kmで1秒以上走るとスプリント数が1回カウントされる仕組みだ。時速24kmとは、50mを7.5秒で走るくらいなので、だいたい1秒あたりでは6.7mほどになる。これを1秒以上継続すればスプリント数が1回ということだ。

 前田の1試合のスプリント回数は多ければ60回ほど、少ない試合でも40回は記録されている。この数字はすごいのだが、他の選手に比べて前田はスプリント回数が増えやすいことも理解しておかなければいけない。

 というのも、前田の50mの走力は5秒8とも言われているからだ。これだけ足が速ければ、軽めに流してもスプリントにカウントされると思う。

 もっとも、軽めだろうと必死だろうと前田がボールを追ってスプリントしている証でもあるだろう。だが、もともと持つ足の速さに影響されやすいデータだという点も理解できるはずだ。

 データでサッカーを奥深く観ることができるが、あくまで指針にすぎない。これを忘れずに、データを楽しみつつ、サッカーも楽しんでもらいたい。

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