2021.10.28

「デュエル勝利数=最強」ではない? サッカーのデータは背景を知ってからが面白い

  • text by Tsugane Ichiro
  • photo by AFLO

福田正博 フットボール原論

■「デュエル勝利数」「スプリント回数」など、最近のサッカーの試合では、以前とは比べ物にならないくらいたくさんのデータが提示され、それを楽しむことができる。ただ、数字の良さやランキングの上位が、そのまま内容の良さとは限らないのが難しいところだ。どの数字も「そのデータの背景を知るのが大切」と、福田正博氏は指摘する。

今季もブンデスリーガのデュエル勝利数で上位に入る遠藤航今季もブンデスリーガのデュエル勝利数で上位に入る遠藤航 この記事に関連する写真を見る  サッカーがデータで語られる時代になっている。ボール支配率やパス・シュートの本数など従来からあるスタッツに加え、最近では選手の走った経路やスピードなどを記録したトラッキングデータを使って数値化される項目もある。

 そうやって取得された大量のデータを分析し、浮き彫りになった事象をチーム戦略やトレーニングに落とし込んだり、選手評価に活用したりしている。

 自分がいま現役選手だったら、大変だったろうなと思う。サボらずにちゃんと走っているかどうかは走行距離などのデータで一目瞭然。FWなら「来たるシュートチャンスのために」と手を抜きがちな守備でのチェイスも、スプリント数などの目に見える形で浮き彫りになってしまう。

 一方で、さまざまなデータがあることで、サッカー観戦の楽しみ方は増えたと思う。試合を見ながら「あの選手はいつもより動いていない気がする」と感じたら、データをチェックすれば、選手を見て感じたものが正しかったかがわかる。

 そうしたことが積み重なっていけば、選手やサッカーを見る目が養われ、またサッカー観戦が楽しくなっていくだろう。奥深いところに踏み込むには敷居の高さを感じるサッカーの複雑な面も、データを見比べたりすると入りやすくなるのではないかと思う。

 ただし、注意しなければいけない点もある。データが示す数値は、あくまでデータ採取の指針に則った数値にすぎないということだ。

 たとえば、いま日本代表の遠藤航の代名詞のように使われている『デュエル』。ハリルホジッチ元日本代表監督時代に日本選手のウィークと指摘されて広く知られるようになった『球際での競り合いの勝負』だが、このデュエル勝利数で遠藤航は昨季のブンデスリーガで1位となった。