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長友佑都の野心の原点となる11年前の言葉。FC東京復帰でチームは激変した (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by KYODO

「ひとりの熱を持った選手のおかげで、ここまで変わるものなんだなと。チームとして根本のところで熱い気持ちが足りず、安定して力を出しきれていなかったところ、彼がトリガー(引き金)になってくれました。戦う気持ちで周りを奮い立たせ、劣勢も跳ね返すというか......。太陽のような選手がひとり入って、大きく変わりました」

 FC東京は横浜FCを圧倒した。守備は堅牢で、攻撃は電光石火。ボール支配率そのものは下回ったが、攻守の切り替えの強度で違いを見せた。何度となく敵陣でボールを奪い、ゴールに迫って、一度失敗しても、再び奪い返し、波状攻撃を敢行。ディエゴ・オリヴェイラの先制点は、彼自身の芸術にまで高められた技によるものだったが、そこまで押し込めたのはチーム力の差だった。その後もショートカウンターや連続攻撃で加点し、4-0と完勝した。

 長友自身はその勝利の中で、終始、堅実なプレーを選択していた。堅守カウンター型のチームで、左サイドの持ち場を明け渡さなかった。献身的に中に絞り、ラインをコントロールし、自らもサイドの選手を後方支援。周りを促し、滑らかなプレーを促すような環境を作っていた。もっとも、対面したブラジル人選手には、1対1で何ひとつやらせていない。

「11年ぶりに青赤のユニフォームでプレーしたんですが、嬉しかったし、痺れました。当時の野心溢れる自分を思い出して。若かった自分に負けたくないと思いましたね」

 長友は復帰戦を、そう振り返っている。

「まずはチームの士気を高め、熱量を上げる、というところを伝えて練習に入りました。前節の試合を見て、まだ自信なさそうにプレーしている姿が目についたので。試合中も90分間、ずっと声をかけていました。"セカンドボール"、"ラインコントロール"、"コンパクトに"だったり、細かい指示だけでなくて、みんなの気持ちを鼓舞し、集中させ、モチベーションが上がるように」

 背番号50の存在は、これからじわじわとチームに浸透するだろう。チームは競争力と結束力を同時に手に入れたようなもので、何人かの選手は飛躍的成長を遂げるかもしれない。それはいつか、「長友効果」と呼ばれるのだろう。

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