J1復帰が見えてきた。今のジュビロ磐田には失点してもビクともしない強さがある (3ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 松岡健三郎●撮影 photo by Matsuoka Kenzaburo

 値千金の同点ゴールを決めた小川大が、誇らしげに語る。

「自分たちのサッカーをしていれば、相手を崩せる。早く点をとらないといけないとは思ったが、だからといってプレースタイルを変える必要はないなと思っていた。一貫して同じイメージでプレーできた」

 磐田は第25節からの最近5試合のうち、実に4試合で相手に先制を許しているのだが、その戦績は3勝1分け。小川大の言葉が、何ら大げさでないことは、結果にもはっきりと表れている。

 いわば、逃げてよし、追ってよし。試合がどんな展開になろうとも、ピッチに立つ磐田の選手たちに、慌てる様子は見られない。

 今季の磐田は、ただでさえJ2屈指のタレントを擁しているのである。

 強靭なフィジカル能力を生かし、ゴリゴリと相手ゴールに迫れるルキアンは、J1でも十分通用するだろうし、MF遠藤保仁、山本康裕の2ボランチにしても、彼らが打ち込む縦パスは、ボールの質といい、タイミングといい、間違いなく"超J2級"だ。

 にもかかわらず、万難排してJ1昇格を狙う磐田は、夏の補強にも余念がなかった。

 J1の横浜F・マリノスから前出の高野の他、DF伊藤槙人を、同じく清水エスパルスからは、MF金子翔太を獲得。いずれも試合出場を重ね、戦力アップに力を発揮している。

 千葉戦でも、途中出場ながら決勝ゴールをアシストした高野はもちろん、同じく途中出場だった金子もまた、ルキアンへの好サポートから決定機を作り出すなど、新天地での素早い適応をうかがわせる。磐田を追う他クラブにとっては、ますます強力なチームになってしまったというのが本音だろう。

 率直に言えば、チームとしての戦い方は、よくも悪くも無難。現代サッカーの戦術的な面白みには欠ける。

 だが、あれこれ策を講じずとも、これだけのタレントにどっしりと落ち着いて試合を進められたら、そうそう太刀打ちできるものではない。

 磐田のJ1復帰が見えてきた。

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