三笘薫と田中碧の抜けた穴はどうなる。20歳ウインガーが強烈なインパクト (3ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • photo by Getty Images

 一方、三笘の定位置だった左ウイングには長谷川竜也が入った。鋭い仕掛けを持ち味とするドリブラーは、三笘の台頭以前はこのポジションのレギュラー格だった。

 しかし、この日は持ち前の推進力を発揮できずに58分で交代となった。三笘のような存在感を発揮できなかったのは否めないだろう。

 ところが、その長谷川に代わって入った選手が強烈なインパクトを放った。プロ2年目の宮城天である。この20歳のウインガーには、大きな可能性が感じられた。

 出場時間30分強で3本のシュートを放ち、うち2本は決定機。仕掛けとゴールへの意識の高さに加え、宮城のよさはタメを作れることだろう。ボールを晒しながら対峙する相手をじりじりと後方に押しやり、食いついてきたところを一気にかわしていく。

 やみくもに縦に仕掛けるのではなく、サイドでうまく時間を作ることで、味方がゴール前に人数をかけやすくなる。相手が退場者を出したこともあったが、宮城がピッチに立って以降、川崎の攻撃には持ち前の連係と迫力が蘇っていた。

 そのスタイルは前任者を彷彿させるもので、宮城は三笘の正統後継者として名乗りを上げている。

「薫さんは圧倒的な存在感を出していたし、自分も尊敬する先輩。薫さんのようにはうまくできないかもしれないですけど、自分の形を出して、自分の色でチームに貢献して、結果を出していきたい」

 本人にもその自覚は十分に備わっているようだ。

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 田中と三笘の穴は、そう簡単には埋まるものではない。しかし、代わってピッチに立つ選手が自らの持ち味を発揮し、新たなスタイルを作り上げていく。相応の時間は要するだろうが、いずれはふたりの不在を感じさせないチームに仕上がっていくのだろう。その可能性は十分に感じられた。

 ただし、「ふたりの穴」以上に後半戦の川崎が苦しみそうなのは、相手の対策にほかならない。

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