2021.07.03

横浜F・マリノスはどう変わっていくのか。有力視される新指揮官の名前

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Belga Image/AFLO

 ただし、今の横浜FMは監督以上に選手たちがプレーモデルを理解し、革新させている。

 例えば鳥栖戦では、ポステコグルーが植え付けた攻撃型スタイルを謳歌するように主導権を握って、中央ではマルコス・ジュニオールが敵を手玉に取り、左右から面白いように切り崩した。今シーズン、ポゼッションを高めてきた鳥栖に手も足も出させていない。鳥栖の倍以上の23本のシュートを浴びせ、倍近い735本のパスを回した。つなぐスピードは速く、運ぶ精度は高く、ゴールへの迫力で上回った。何より敵陣でボールを奪いにかかるタイミングや強度は猛烈で、2得点はともに、鳥栖が持ち運ぼうとしたところを奪い返してのショートカウンターだった。

「自分にとって、マリノスの強度は想定内でしたが、練習からもっと(チームメイトに)伝えられていればよかったなと思います。(準備していた)以上のプレスでマリノスは臨んできて。その強度を前に、やりたいことをほとんどやらせてもらえなかった」

 かつて横浜FMに在籍していた鳥栖のGK朴一圭は、そう言って敵を称えた。

 鳥栖戦に続く徳島ヴォルティス戦も、横浜FMは開始早々から相手を押し込んでいる。雨あられの攻撃で圧迫すると、結果的に、27分のオウンゴールにつながった。体力を使い切ったのか、少し相手にボールを持たれたが、後半途中からは新鋭選手の投入で巻き返し、0-1というスコア以上の差を見せつけた。選手層もリーグ屈指。何しろ、喜田拓也、水沼宏太、仲川輝人、天野純、レオ・セアラというカードを途中投入できるのだ。

 選手たちにポステコグルーの戦い方が染みついているのは、大きなアドバンテージと言えるだろう。

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 しかしながら覇権奪回を考えた場合、プラスアルファが必要になる。首位、川崎フロンターレとの勝ち点差は離れているが、川崎にはアジアチャンピオンズリーグの消耗や田中碧の移籍などもあるだけに、勝利を重ねることで背中は見える。一昨年王者の実績は伊達ではないはずだ。