横浜F・マリノスはどう変わっていくのか。有力視される新指揮官の名前
横浜F・マリノスは6月、2018年からチームを率いていたアンジェ・ポステコグルー監督の退任を発表した。
シーズン途中での指揮官の移籍(スコットランドの名門、セルティックと契約)は、異例と言える。欧州や南米のクラブだったら、サポーターも含めて混乱が生じていたはずだが、ポステコグルーがもたらした2019年のリーグ優勝と斬新なスタイルはかけがえのないものだけに、静かに送り出された。天皇杯、ルヴァンカップの敗退はあったが、暫定政権はその後のリーグ戦で2連勝を飾っている。
「ポステコグルー監督の存在は大きかった。すばらしいサッカーと哲学を、プレーに落とし込んでくれた」
ポステコグルーが去って初のリーグ戦でサガン鳥栖に2-0で勝利した後、決勝点を決めたマルコス・ジュニオールはその思いを口にしている。
「我々選手ひとりひとりが、スキルの高いプレーで作り上げてきたものを継続できるか。偉大なクラブは、人は去るが、クラブは残る。私たちは、新たなページをめくらないといけないし、(去ってしまったことを)悔やんでも意味はない」
それは決別と継続を同時に意味していた。では、横浜FMはどう変わっていくのか?
横浜F・マリノスの監督就任が有力視されているケビン・マスカット元シント・トロイデン監督 ポステコグルーの後任として、現在は暫定的にアカデミーダイレクターだった松永英機が指揮を取っているものの、ケビン・マスカットの就任が有力視されている。ビッグクラブを率いた経験もあるスペイン人の有力監督などもリストに上がっていたが、「現体制を引き継ぐ」という選択をしたのだろう。踏襲、継承がお題目だ。
マスカットはポステコグルーと同じオーストラリア人で、2013年当時、メルボルン・ビクトリーでポステコグルーのアシスタントコーチを担当していた。その後、ポステコグルーがオーストラリア代表監督に就任すると、監督に昇格。まさに〝直系の指導者"と言えるだろう。
もっとも、マスカットの力量は未知数である。ポステコグルーは、モノ言わないでもボスの空気を張り巡らせるところがあった。マスカットは戦術的理解こそ前任者と共通しているのだろうが、それは必ずしもリーダーの資質とイコールではない。直近ではベルギーのシント・トロイデンで、成績低迷によりわずか半年で監督解任の憂き目に遭っている。
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