なぜ日本はストライカーが育たないか。中村憲剛と佐藤寿人が真剣に考えた (2ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

中村 チームとして設計図を描けるよね。フロンターレだったら、ジュニーニョ、大久保嘉人(現セレッソ大阪)、小林悠といたけれど、最終的に彼らが点を取れるように周りを作っていく計算ができる。点を取ってくれるのは、個人的には大正義だから。

佐藤 数字で評価が全然変わってくるのがFWなんです。僕はふたケタ取ったシーズンでも、減俸されましたから。ふたケタは最低限で、15点は取らないと、それ以上の評価を得るのは難しかったですね。

中村 シビアだよね。数字がダイレクトで反映される。僕らのようなポジション(MF)とはちょっと違う。

---- 点を取ることがすべてだと考えると、世界的に見て今、最も優れたストライカーは誰になりますか。

中村 個人的にはレバンドフスキ(バイエルン)かな。(1シーズンで)40点以上取ったわけだから。

佐藤 レバンドフスキがブンデスじゃなくて、プレミアに行ってどれくらい取れるか見てみたいですよね。ブンデスだとちょっと力の差があるじゃないですか。バイエルンという毎試合チャンスがあるチームのなかで取れるところもあると思うので。上と下の力の差があまりないプレミアならどうなるのかな、という興味はありますね。

---- レバンドフスキの技術的に優れているところはどこですか?

佐藤 常に動き直しができるところだと思います。ひとつの動きでパスが出てこなくても、すぐに動き直して、またボールをもらえるポジションを取れる。この時に大事なのは身体の向き。僕は今、子どもたちに教えることが多いですけど、「いろんな情報を見ましょう」と伝えているんです。

 いろんなところを見るためには、適切な身体の角度を作らないといけない。具体的には、出し手も見れるし、ゴールも見れる状態ですね。そうやっていい身体の向きが取れていると、ボールを持っている人が誰を使うかという選択をする際、そこの選択肢に入りやすい。

 その状態に持っていくのが、レバンドフスキはうまいんです。だからボールがたくさん来るし、その分、シュートチャンスも増えてくる。

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