サポーターに深々と頭を下げたイニエスタ。日本、そして神戸との「絆」 (4ページ目)

  • 高村美砂●文 text by Takamura Misa
  • photo by ⓒVISSEL KOBE

 その点において、イニエスタがこの3年で示してきた日本、神戸への愛着は間違いなく今回の契約延長を後押ししたはずだ。会見で話した"感謝"の言葉が、それを如実に示している。

「私と私の家族を代表して、神戸、日本のみなさんに感謝申し上げたいです。愛情とリスペクトを持ってみなさんがおもてなしをしてくださったことで、本当にこの場所が私たちにとっての第二の故郷になりました。

 みなさんは今、(コロナ禍にあって)大変な時期を過ごしていると思いますが、これまでもみなさんが出してきたのと同じエネルギーを持って、この困難をともに乗り越えていければと思っています。アリガトウゴザイマス」
 
 そんな日本、神戸との"絆"を伺える温かいシーンを目の当たりにしたのが契約延長発表直後のホームゲーム、J1リーグ第14節のセレッソ大阪戦だ。この試合前、神戸サポーターはコロナ禍で観客が立ち入ることのできないアウェーゴール裏にイニエスタの名前と顔をかたどったコレオグラフィーを作り上げた。

 彼の復帰と契約延長を歓迎する意を示したものだと察するが、その思いをイニエスタ自身もしっかり受け取ったのだろう。試合後、30分ほど経って、撤収作業を始めようとしていたサポーターのもとに一人、歩み寄り、深々と頭を下げて、感謝の気持ちを表した。

 これだけのキャリアを重ねても、決して色あせない人間性と"仲間"を思いやる心。それもまた、彼が世界的スーパースターとして愛され続ける理由に違いない。

自らの名前と顔をかたどったコレオグラフィーを作成してくれたサポーターに挨拶したあと、記念撮影をするイニエスタ。photo by Takamura Misa自らの名前と顔をかたどったコレオグラフィーを作成してくれたサポーターに挨拶したあと、記念撮影をするイニエスタ。photo by Takamura Misa

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