2021.05.21

鹿島復活のカギを握る20歳。「速くてうまい」ウイングがまた生まれた

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by AFLO

 昨季同様、川崎フロンターレが独走態勢を固めているJリーグ。追いかける力があるとすれば、横浜F・マリノスしかないと期待するも、前節(5月15日)、監督交代を機に、昇り調子に転じた鹿島アントラーズとのアウェー戦に、5-3で打ち負けてしまう。

 後続集団の星の潰し合いは、川崎の独走に拍車をかける。川崎以外のファンには歓迎できない展開ながら、試合そのものに目を向ければ、この鹿島対横浜FM戦はそれを圧しても面白い好試合だった。

 サッカーそのものに可能性を感じたのは、勝った鹿島より、やはり横浜FMだった。高い位置でボールを奪おうとする攻撃的な姿勢がより鮮明だったからだ。そうした中でなぜ鹿島は勝利を掴むことができたか。撃ち合いを制すことができたか。

 理由を3つ挙げるとすれば、ひとつは2失点に関与した横浜FMのGKのミス。もうひとつはハットトリックを達成した土居聖真のサッカーセンス。そして3つ目は、右MFとして先発した松村優太のスピードになる。

今季はここまで10試合に出場、1得点の松村優太(鹿島アントラーズ)今季はここまで10試合に出場、1得点の松村優太(鹿島アントラーズ)  松村は、昨年1月の高校選手権で静岡学園の右ウイングとして全国一に輝いた入団2年目の若手だ。

 試合は前半を終えて1-1。内容で上回る横浜FMは、順当に先制したものの、GK高丘陽平のキャッチミスで同点とされていた。さらに後半開始30秒、ハーフタイム直後の喧噪を縫うように、土居に勝ち越しゴールを許してしまう。

 試合は2-1。リードするのは鹿島ながら、サッカー的には横浜FMのほうが上。残り時間は十分ある。横浜FMが同点弾を決め、さらに逆転する可能性は、それでも50%以上あると踏んでいた。

 後半8分。横浜FMのボールを三竿健斗がカット。ボールが白崎凌兵に渡り、さらに土居に送られた瞬間、松村は疾走を開始した。

 それは、対峙する横浜FMの左サイドバック、ティーラトンの方が先に追いつきそうな、通ればラッキーという半分アバウトな縦パスに見えた。

 だが、松村は速かった。みるみる加速すると、右サイドから斜め前方に走ったその鼻先に出たボールに急接近。ドリブルをまじえながらティーラトンを引き離そうとした、その瞬間だった。ティーラトンはたまらず足を掛ける。松村は何とか堪えるも、背後からさらに手を伸ばされ転倒。PKをゲットした。