盤石の川崎に弱みはあるか。カギは「サイドの穴」と「家長・三笘」 (3ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 それは、自らのスタイルを捨てることになるかもしれない。だが、まともに張り合っても太刀打ちできないほどの強さが川崎にはあるのだから、徹底した対策を施すほかない。

 もっともこれも机上の空論にすぎず、実際にはラフなボールを回収され、川崎にボールを持たれる時間が増えれば、さらに苦しくなることも想像がつく。有効性とデメリットを天秤にかければ、なかなか踏み出せない策でもあるのだろう。

 いろいろ書いたわりに何も生み出していないことに気づいたので、もうひとつ川崎の弱点となりかねないポイントを挙げておこう。それは、選手層だ。

◆中村憲剛と佐藤寿人がお互いを「性格が悪い(笑)」と思う理由>>

 今季の川崎は前半のうちに勝負を決めてしまう試合が多いがゆえに、後半にトーンダウンしがちな傾向が見られる。もちろん試合展開に影響される部分は大きいが、選手交代によってリズムを失うケースもある。昨季は三笘薫というジョーカーの存在もあり、後半に無類の強さを発揮したが、三笘がスタメン起用される今季は、その役目を担うタレントが今のところは不在となっている。

 先の広島戦でも同点に追いつかれたあと、選手交代で活性化を図ったが、むしろ迫力は次第に消えていった。名古屋戦でも3点リードの63分に家長昭博とレアンドロ・ダミアンを下げてから流れを悪くし、77分に三笘も代えるとさらにリズムを失った。

 カギを握るのは、家長と三笘の両翼だろう。突破力とキープ力に長けたこのふたりは、いるだけで脅威を与えられる存在だ。そのため、相手のサイドは前に行くことを躊躇する。

 しかし、このふたりがピッチを離れれば、その抑止力は弱まる。名古屋戦でマテウスと森下のふたりが躍動できたのも、三笘がピッチを離れたことと無関係ではなかったはずだ。

 その意味では、家長と三笘を引きずり下ろす展開に持ち込むことが「打倒・川崎」のプランBとなるかもしれない。ただし、その時点で試合が決まっている可能性もあるのだが......。

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