盤石の川崎に弱みはあるか。カギは「サイドの穴」と「家長・三笘」

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 今季のJ1リーグの優勝争いの灯(ともしび)は、夏の訪れを待たずして消えてしまったのだろうか。ACLの影響による変則日程となったことで実現した、川崎フロンターレと名古屋グランパスの首位攻防2連戦。王者・川崎が4−0、3−2と眼下のライバルを連破し、首位の座を確実なものとした。

 この連戦を前に両者の勝ち点差は3だったが、その差は一気に9に拡大。まだ14試合を消化したにすぎないが、名古屋にとってはすでに直接対決の機会がなくなったのだから、小さくないディスアドバンテージを負ったことは確かだろう。

三笘薫の存在は相手に脅威を与えている三笘薫の存在は相手に脅威を与えている それにしても際立つのは、川崎の強さだ。

 4月29日に行なわれた第1ラウンドでは、開始早々の旗手怜央のゴールで勢いに乗ると、レアンドロ・ダミアンが立て続けに2ゴールを奪取。後半にも遠野大弥がダメを押し、それまでわずか3失点だった名古屋の堅守をあっさりと打ち砕いている。

 中4日で迎えた第2ラウンドでも、両者の力量差は明白だった。

 ジェジエウの強烈なヘッドを皮切りに、中央に飛び込んだ右サイドバックの山根視来が追加点を奪うと、さらには相手にオウンゴールを献上される幸運にも恵まれた。もっとも、前回に続く楽勝かと思われた流れは、そこから突如として薄氷を踏むような展開へと向かってしまう。

 残り20分あたりから名古屋の圧力に屈し、局面の争いやセカンドボールの回収で後手に回ると、73分に左サイドを完璧に崩されて失点。さらに83分にはマテウスにワールドクラスのFKをお見舞いされ、一気に窮地に追い込まれてしまった。

 最後はシステムを変え、珍しく時間稼ぎのプレーも駆使して逃げ切ったものの、開幕から無敗を続け、盤石と見られていた川崎にわずかな隙が生じた20分間だった。

 弱みを見せたのは、サイド攻撃への対応である。

 川崎の攻撃スタイルのカギを握るのは、両SBのポジション取りにある。高い位置、あるいは中央へと絞るため、必然としてこのエリアが抜け殻となりやすい。即時奪回やCB(とくにジェジエウ)のカバーリングでそのウイークポイントを埋めているものの、プレス回避を狙ったロングボール攻撃やジェジエウの対応が後手を踏むと、一気にピンチに陥ることとなる。

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