Jリーグ好調3チーム、スタートダッシュ成功の要因を分析する (2ページ目)

  • text by Tsugane Ichiro
  • photo by Kishiku Torao

 選手層でも昨季を上回り、先発メンバーを大幅に入れ替えてもチーム力が落ちない。仙台戦では、前節から先発メンバー6人を入れ替えたが、チームとしての戦い方に大きな変化はなし。主力をしっかりと休まて、いいコンディションで次の試合に臨ませることができている。この好循環を開幕早々につくれたのは、長いシーズンを見据えた時には大きいだろう。

 敢えて不安材料を探せば、今季から加入したジョアン・シミッチの務めるアンカーのところ。シミッチには足元の技術やセットプレーで高さを発揮できる武器がある反面、守田に比べれば、守備での強度がやや足りないが、言いかえればそれくらいしか懸念点がない。

 昨季の川崎は開幕戦こそ引き分けたものの、第2節から10連勝し、第14節からは12連勝。今季はどれくらい連勝を伸ばしていくのか。また、どこが川崎を止めるのかに注目している。

 昨季川崎と1勝1敗の対戦成績だった名古屋グランパスは、リーグ戦とACL(AFCチャンピオンズリーグ)を両睨みした大型補強を敢行して今季に臨み、開幕から4戦4勝。ただ、この勝ち点12は課題だった攻撃力がもたらしたものというよりは、昨季から安定している守備陣によって手にしたものと言っていいだろう。

 マテウス、前田直輝、相馬勇紀、阿部浩之、ガブリエル・シャビエルに、今季から柿谷曜一朗と齋藤学を加えたアタッカー陣の顔ぶれは充実している。その彼らを活かすポイントになるのが、1トップの選手だ。

 金崎夢生が故障で出遅れているなかで、山崎凌吾が1トップを務めている。山崎は左利きで足元もうまく、ヘディングでの強さもあるいい選手だ。ただ、現状のレベルで言えば、優勝を狙うチームの1トップとしてまだ迫力不足の感は否めない。彼がもう一段レベルアップするか、新たな強力FWを獲得できれば、川崎に食らいついていけるのではないか。

 川崎に次ぐインパクトを残しているのは、サガン鳥栖だろう。主力だったボランチの原川力(現C大阪)、左サイドバックの森下龍矢(現名古屋)、FWの金森健志(現アビスパ福岡)が移籍し、新たに獲得した外国人FWが合流できていないなか、開幕からリーグ戦3連勝。4試合で8得点、失点ゼロは最高のスタートと言っていい。

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