2021.03.15

浦和の左サイドが「狩場」に。スペイン人指揮官はどう立て直すのか

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 佐野美樹●写真 photo by Sano Miki

「Romper」(壊す)

 試合後、スペイン人監督リカルド・ロドリゲスは、その動詞を何度か用いた。ディフェンスラインを突き破り、敵のスペースに割って入っていく時に使う戦術用語である。個人技で、もしくはコンビネーションを使い、ラインを越え、スペースを支配し、ゴール前に迫る。

 つまり、攻撃的な表現だ。しかしこの日、彼のチームはそこまで到達していなかった――。

厳しい表情で横浜F・マリノス戦を見つめるリカルド・ロドリゲス監督(浦和レッズ) 3月14日、日産スタジアム。浦和レッズは、一昨シーズンの王者である横浜F・マリノスの本拠地に乗り込んでいる。徳島ヴォルティスをJ1に昇格させた手腕を引っ提げ、ロドリゲス監督が就任して1年目。開幕から1勝1分け1敗で迎えた4戦目だった。

 開始2分、ロドリゲスの浦和は早々にチームとしての完成度の差を見せつけられることになった。

 相手の激しい出足のプレスに、杉本健勇がサイドで身動きできなくなって、パスをカットされてしまう。左サイドにボールを流し込まれると、フリーの仲川輝人が折り返したボールをGKがわずかに触るが、前田大然に押し込まれた。

「去年との違いは、よりアグレッシブになった点だろう。前からプレスをはめる動きだけでなく、ボールを持った時のゴールに迫る激しさ。チーム全体でやろうとしているサッカーができた」(横浜FM/アンジェ・ポステコグルー監督)

 失点シーンで、浦和は左サイドバックの山中亮輔が全力で攻め上がりを見せており、カウンターを食らう形で裏を突かれていた。攻撃的に出た代償とも言えるかもしれない。しかし、山中はハーフライン付近で汰木康也と重なっていただけに、むしろ組織としてのズレと言えるだろう。

 26分、浦和はボールをつなげて自陣から出ようと必死だった。それが彼らの求めるスタイルなのだろう。しかし、はめ込まれてしまい、自陣でボールを失うと、クロスから落としたボールを、再び前田にボレーで叩き込まれた。

 ビルドアップとプレッシングの精度対決で敗れた形だ。

「後ろからビルドアップして攻める形は、キャンプからずっとやってきているので、1、2試合、結果が出なかったからといっても、ぶれずにやっていきたいです。味方同士の距離感、いいポジションを取れるか、楽な体勢で受けられるか、を突き詰めながら、つなぐだけじゃないプレーも見せられるように」(浦和・西川周作)