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今季アントラーズは強し。だが本当に「打倒・川崎の一番手」なのか (3ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by J.LEAGUE/J.LEAGUE via Getty Images

 とはいえ、現時点での力関係では、鹿島は川崎に劣ると言わざるを得ない。言い換えれば、今の川崎はそれほどに強い。

 今季の鹿島が高い評価を受けるのも、単純な実力の比較というより、ACL(AFCチャンピオンズリーグ)がないという"付帯条件"があってのことだ。誰もが、川崎が明らかに強いことは承知のうえで、「もし川崎を倒すとしたら」の注釈付きで評価しているというのが実際だろう。

 確かに鹿島は、ボールの動かし方や奪い返し方が確立されてきた。しかし、そこでの完成度ならば、川崎に一日の長がある。というより、数段上だろう。

 湘南戦を見ていても、せっかく素早い守備への切り替えから高い位置でボールを奪い返しても、ビッグチャンスをフイにしてしまうケースが目立った。おそらく川崎なら前半のうちにもう2、3点取って勝負をつけ、後半さらに加点して大勝。そんな試合にしていたはずだ。

 2-0から1点を失ったあと、すぐさま取り返して3-1にしたあたりは、さすがとも言えるが、そもそも2-0から1点を失ってしまうところに、脆さがあるとも言える。3点目を決めたDF町田浩樹が「素直に喜べる感じでもない。自分が得点したことより、1失点したことのほうが気にかかっている」と言うのもうなずける。

 しかしながら、開幕4連敗を含め、最初の6試合を1勝5敗でスタートした昨季の鹿島は、終わってみればACL出場圏内にあと一歩の5位。その上げ幅は驚くほどに大きく、時間の経過とともに急激にチームとして形になっていった。(川崎にはACLも待ち受けている)長いシーズンが進んでいけば、現時点では及ばずとも、ライバルとの差を縮める可能性は十分に秘めている。

 加えて言えば、昨季チーム得点王のFWエヴェラウドや前出の荒木の他、MFファン・アラーノ、DF永戸勝也、広瀬陸斗ら、主力に今季鹿島での2年目を迎える選手が多いことも、チームとしてのさらなる成熟と上積みを期待させる。

 ザーゴ体制2年目を迎えた今季、Jリーグが誇る常勝軍団は、確かな足取りで王者・川崎を追いかけている。

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