清武弘嗣の美ゴールを演出したパッサーに「中村俊輔越え」の期待も

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • 山添敏央●写真 photo by Yamazoe Toshio

 J1リーグ第3節。注目のカードはセレッソ大阪対清水エスパルスだった。清水の新監督ミゲル・アンヘル・ロティーナ監督にとってC大阪は、昨季まで2年間、采配を振った古巣。5位(2019年)、4位(2020年)と、上々の成績を残したにもかかわらず、なぜ退団したのか。その経緯がいまひとつ不鮮明な点も、この試合に興味を抱く原因になっていた。

 試合は前半5分に清水が先制すれば、C大阪が前半22分に追いつく展開。接戦を制したのはC大阪で、後半39分、決勝点を叩き出したのは清武弘嗣だった。体勢を傾けながら放ったその右足ボレーは、きれいにゴールネットに吸い込まれた。しかし、試合直後のインタビューで、清武はこう淡々と語るのだった。

「タツがよく見ていてくれたので、僕は当てるだけでした」

 多少の謙遜もあるだろうが、それはうまく言ったもので、足の甲でボールを的確に捉えれば、8割方入りそうだと事前に予測できたゴールだった。ビューティフルゴールではあったが、清武の技術を持ってすれば、難易度はさほど高くないと思わせる、ある意味ではイージーゴールだった。

 タツこと坂元達裕から送られたラストパスは、そう言いたくなるほど正確無比だった。右のタッチライン際から、ファーポストのさらに奥、逆サイドのゴールエリアの隅付近で構える清武に送られた、左足のクロスボールである。

 キックに及ぶ前に、坂元は十分にルックアップ。中央の状況をよく把握した精度の高いコントロールショットであることは、利き足である左足を押し出すような、中村俊輔(横浜FC)を彷彿させるキックフォームに滲み出ていた。

開幕から3試合連続でフル出場を続けている坂元達裕(セレッソ大阪)開幕から3試合連続でフル出場を続けている坂元達裕(セレッソ大阪) C大阪はサイドチェンジから右サイドに展開。右サイドバック(SB)松田陸、守備的MF原川力を経由したボールが、ライン際に大きく張り出した坂元に収まると、清水は左SB片山瑛一がその対応に当たった。昨季までC大阪でプレーしていたSBである。今季、ロティーナとともに清水に移籍。そのサッカーの申し子として、片山は開幕からスタメンを飾っていた。

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