2021.03.14

サンフレッチェ、課題解決の糸口が見えず。だが浅野拓磨の弟・雄也は希望の光

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • photo by Getty Images

 昨季は優勝争いに加わることができないまま8位でシーズンを終えたサンフレッチェ広島だったが、個人的に今季のこのチームには小さくない期待感を抱いていた。

 3−4−2−1から4−2−3−1にシステムを変え、より攻撃的なチームへと進化を遂げようとする姿勢を示していたし、経験値を高めた森島司や浅野雄也らのさらなる飛躍も望まれた。そして、なによりジュニオール・サントスの加入が大きい。

浅野雄也の2学年上が兄・拓磨 昨季、横浜F・マリノスで見せたパフォーマンスは圧巻だった。22試合で13得点という成績もさることながら、驚きなのは圧倒的なスキルの高さだ。速さがあり、強さもあり、テクニックもある。機動力と献身性も備えるので、高い位置での守備が求められる広島に打ってつけの人材と言えた。

 ところが、強い風と雨が降りつけた鹿島アントラーズのアウェーゲームに、このストライカーはケガのため不在だった。そして新たなエースを欠いた広島は、攻撃的とは程遠い姿を晒してしまうのだ。

 もちろん、ジュニオール・サントスの不在が痛かったのはたしか。開幕2試合連続ゴールと早くも結果を出している得点源を欠けば、攻撃性が薄まるのは致し方ない。

 ただし、原因はそれだけではないだろう。30分に浅野のゴラッソで先制するまではよかったが、それ以降、重心が下がって後方で耐えしのぎ、ただ長いボールを前線に蹴り出すことしかできなくなってしまった。その戦いぶりは「ひとつのチームはサッカーをしようとして、ひとつのチームはサッカーをしていなかった」と、鹿島のザーゴ監督からも皮肉られるほど。

 当然、リードしているのだから、勝つためには守りを固めるのも戦略である。しかし、あまりにも早い時間帯から守勢に回れば、耐えきれなくなるのは必然だ。後半はまさに防戦一方となり、69分に失点し、1−1の引き分けに終わっている。

 今季の広島はこの鹿島戦も含め、開幕からすべての試合で先制している。しかし、逃げ切れたのは前節の北海道コンサドーレ札幌戦の1試合のみ。ベガルタ仙台との開幕戦では、数的優位を手にしながらも土壇場で追いつかれ、第2節の横浜FM戦では2点のリードを守り切れなかった。