埋めようがない大きな穴を抱えたレイソルの憂鬱。オルンガの代わりは... (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by Getty Images

 呉屋は2016年に関西学院大からガンバ大阪入りするも、思うような出場機会を得られないまま、徳島ヴォルティスやV・ファーレン長崎でJ2を経験。2019年に長崎で22ゴールを記録し、昨季、柏に加入した。

 柏での1年目は、20試合出場4ゴールと十分な結果は残せなかったが、貴重なFWの控えとして数字以上の仕事をこなした。それについては、指揮官も「昨季は、出場試合や出場時間は少しだったが、出た試合ではいい働きをしてくれた」と語っているとおりだ。オールラウンドなFWとして堂々とプレーする姿は、身長177cmとは思えないほど大きく見えた。

 そして迎えた今季、柏の浮沈を占ううえで、呉屋の出来はひとつの注目ポイントと言っていい。なぜなら彼には、チームの中にぽっかりと開いた大きな穴を埋めることが期待されているからだ。

 大きな穴とは言うまでもなく、昨季J1の得点王にしてMVP、FWオルンガが抜けた穴、である。

 昨季、J1開幕戦での2ゴールを皮切りに、32試合出場で28ゴールを量産したオルンガは、まさに柏の屋台骨を支える存在だった。いい守備からいい攻撃へ。そんな考え方をベースにカウンターを武器とした柏において、このケニア代表FWは不可欠な存在だった。

 少々アバウトなボールであろうと、奪ったボールを相手DFラインの背後へ送ることさえできれば、オルンガは類まれなスピードと桁違いのパワーでボールを収め、相手ゴールへ向かうことができた。チームは7位に終わったが、それでもオルンガがMVPに選ばれたあたりに、彼の活躍がいかに特別なものだったかがうかがえる。

 Jリーグ史に残るほどの優れた点取り屋がチームを去ったとあれば、その穴を簡単に埋められるはずがない。味方には勇気を、敵には恐怖を与えていたであろうことを考えると、彼が存在するだけで、柏に有形無形の大きなアドバンテージとなっていたはずだ。身も蓋もない言い方をすれば、穴を埋められるかどうかを議論すること自体、ナンセンスとすら言ってもいいだろう。

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