とんねるずも指導した高校サッカーの名伯楽。選手が勝手に育つ練習とは

  • 松尾祐希●取材・文 text by Matsuo Yuki
  • photo by Matsuo Yuki

「全体練習を2時間半ぐらい行なったあと、さっと部室に戻って着替えて帰る選手と、グラウンドに残って、遊びのなかでもいいから30分ぐらいミニゲームをやって帰る選手がいました。そのほかでは、練習が終わってからシャワーが混んでいてすぐに利用できないから、その間にある程度の距離を必ず走る選手もいました。

 また、帝京時代の教え子に、埼玉県の川口市より先から自転車で(遠距離を)通学していた選手もいたんです。自転車通学で大腿部の筋肉が鍛えられて、結果的に体力がついて、良いストッパーになったこともあった。努力を自ら進んでやる。電車とバスで通学するのではなく、自転車で来るだけでも相当な差が出ます。

 そして技術や戦術も、毎日コツコツトレーニングをやっているなかで、突然身に着いたりするんです。やっぱり、1日、1週間、1カ月、半年、1年、2年、3年の蓄積が身を結ぶんですね」

 現在の高校サッカーにも、こうした指導に長けている人がいるという。

「指導者はいかに努力できる人材を見つけ、環境をつくってあげられるかが大切。青森山田高校(青森)の黒田剛監督もそうですよね。自然環境をうまく使いながら、雪かきや雪上サッカーをやって体を鍛えている。ほかのチームではできないことを数年前から取り入れてやっているからこそ、体力強化につながっていますよね。ただ良い選手を集めてやっているわけではないんです。指導者の知恵とか感性を吹き込んでいるから今がある」

 また、良い指導者になるにはいろいろなところから情報を取り入れ、自分の指導に生かすのが大切だという。

「アンテナを張り、時にはいろんな人のマネをしないといけない。そのうえで、自分なりの個性や創造性を生かしたトレーニングを取り入れる。それがこの世界では必要なんでしょうね。

 自分は元々サッカーをやっていたわけではないから、ほかのスポーツからアイデアを取り入れるのが苦ではありませんでした。帝京時代には当時アイスホッケーの王子製紙が強くて、ユニホームのサプライヤーが同じだった縁でつないでもらって、よく試合を見に行きました。そのほかではバスケットも見学しました。

 テレビのニュースひとつ、番組ひとつでもそうですが、そういうところから学ぶ時もあります。私自身も引用してよく子どもたちに聞かせます」

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