2021.01.06

「異端」の矢板中央がベスト4進出。前時代的スタイルの凄みを発揮した

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 木鋪虎雄●撮影 photo by Kishiku Torao

 全国高校サッカー選手権準々決勝で、昨年度ベスト4の矢板中央が富山第一に2-0と勝利した。

 矢板中央は、これで2大会連続のベスト4進出。さらには、4大会連続でベスト8以上の成績を残し、うち3大会がベスト4と、近年際立った好成績が目立つ。

 そんな矢板中央の強さを支えているのが、水も漏らさぬ堅守である。

 今年度のチームも、身長187cmのDF新倉礼偉、同188cmのDF島﨑勝也がセンターバックとして中央を固め、最後尾には1年生だった昨年度からゴールを守り続けるGK藤井陽登が控える。

 矢板中央を率いる高橋健二監督も「安定感が増している」と、その存在に全幅の信頼を置く鉄壁のトリオを中心に、自陣ゴール前に築いた砦で相手の攻撃をはね返していく。

 ともすれば、徹底して守備を固めるサッカーには、批判の目が向けられることも少なくない。ロングボールの多用をいとわず、縦に蹴り出していく大味な攻撃も、その理由のひとつだろう。

 ある種のノスタルジーを感じさせるそのスタイルは、ポゼッションサッカーが主流となりつつある現代の高校サッカー界にあっては、確かに異端。前時代的、あるいは悪玉とさえ見なされることもある。

 しかしながら、高校日本一へ到達するための手段が、たったひとつでなければならない理由はない。こうした割り切った守備に徹するチームがあることは、ボールポゼッションを重視するチームの成長につながるという側面もあるだろう。

 何より、守備に徹しさえすれば結果が残せるほど、サッカーは簡単なものではない。矢板中央の最大の武器が堅守であることは確かだが、勝負どころを見逃さず、確実にロースコアゲームを勝利につなげる勝負強さや執念は、そうは真似のできないものだ。

 富山第一との試合でも、前半は劣勢を強いられた。自陣ゴール前での危ういシーンもいくつかあったが、「相手(富山第一)も堅守のチームで、よく似ていてやりにくさはあったが、焦れずに守備から入った」とは、キャプテンのDF坂本龍汰。前半を無失点でしのぐと、後半は少しずつ攻勢に転じ、少ないチャンスを確実に生かして2ゴールを奪った。