ルヴァンカップ決勝は隠れた名勝負の宝庫。ベストゲームと言えば... (3ページ目)
単にスコア上の接戦だったというだけでなく、互いが多くの点を取り合ったこと。そして、試合途中に退場者が出るという波乱含みの展開になったこと。そうしたハラハラドキドキのエンタメ性に最も富んでいたという意味で、この試合を超える名勝負はなかっただろう。
誰もがまだ記憶に新しい、2019年の第27回大会決勝である。
栄えある決勝に駒を進めてきたのは、2017、2018年とJ1を連覇していた川崎フロンターレと、2017年のJ1昇格からまだ3シーズン目だったコンサドーレ札幌。しかも、決勝進出が5度目の川崎に対し、札幌は初とあって、一見すると対照的な組み合わせではあったが、初優勝を目指すということでは、互いの立場は対等だった。
川崎フロンターレとコンサドーレ札幌が熾烈な戦いを見せた昨年のルヴァンカップ決勝 先制したのは、札幌である。10分、右サイドからピッチを横断するように入ってきたクロスを菅大輝が豪快に叩き込み、まずは札幌がリードを奪った。
だが、じわじわとボールポゼッションを高め、攻勢を強める川崎は前半ロスタイム、コーナーキックから阿部浩之が決めて同点に追いつく。
そして88分、大島僚太のパスで抜け出した途中出場の小林悠がゴールして、ついに逆転。残り時間を考えれば、これで勝負あり。試合を見ていた多くの人がそう思ったに違いない。
ところが、札幌は後半ロスタイム、おそらくこれがラストプレーというコーナーキックから、深井一希がヘディングシュートを決め、2-2の同点に。試合は延長戦へと突入した。
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