コロナ禍でも諦めるな。高校最後の舞台でプロ入りを射止めた選手たち (2ページ目)

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki
  • photo by Sankei Visual

 2002年1月、自国開催のワールドカップをおよそ半年後に控え、日本サッカーは空前の盛り上がりを見せていた。

 その年行なわれた第80回大会を制したのは、国見。GK徳重健太、DF徳永悠平(ともに現V・ファーレン長崎)、MF柴崎晃誠(現サンフレッチェ広島)ら、のちにJリーガーとなるタレントを各ポジションに揃えた優勝候補筆頭は、前評判どおりの強さを見せつけ、2年連続5度目の優勝を果たした。

 だが、決勝の相手は少々意外な伏兵だった。

 3回戦ではインターハイ優勝の市立船橋を、準決勝では6名のJクラブ加入内定者を擁する前橋育英を次々に下し、打倒・国見の挑戦権を手にしたのは、これが初の決勝進出だった岐阜工である。

第80回全国高校サッカー選手権で活躍した片桐淳至第80回全国高校サッカー選手権で活躍した片桐淳至 快進撃の立役者は、1回戦から準決勝まで5試合連続ゴールのFW片桐淳至。技術的には粗削りながら、愚直にゴールへ向かうエースストライカーの存在は、岐阜工の攻撃のすべてだと言ってもよかった。

 決勝が行なわれた国立競技場でも、彼がボールを持って前を向くたびにスタンドが沸き、会場全体が期待感に満ちあふれた。DFに囲まれても強引に突破していくスピードと、体勢を崩しながらでも前へ突き進む力強さは際立っていた。

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