2020.08.25

内田篤人のラストゲームで見た切ない場面。
限界までやり切り有終の美

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 木鋪虎雄●撮影 photo by Kishiku Torao

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 内田篤人が引退した。

 シーズン中に突然の発表。その3日後には現役ラストマッチ。内田らしい、疾風のごとき早業だった。

J1第12節のガンバ大阪戦を最後に現役から退いた内田篤人 内田の引退試合となったJ1第12節、鹿島アントラーズvsガンバ大阪は当然、感傷的な雰囲気に包まれていた。勝負がかかった公式戦であることは誰もがわかっていても、そうと割り切って試合に集中することが難しかった選手は、おそらくひとりやふたりではなかったはずだ。

 内田はベンチスタート。だが、試合前の段階で、鹿島のザーゴ監督は"主役"の起用を示唆していた。試合展開にもよるだろうが、ラスト5分、あるいは10分くらいか。いずれにしても、内田の出場があることは容易に想像できた。

 ところが、出番は想定外の早さでやってきた。右サイドバックで先発出場したDF広瀬陸斗が、前半15分にして右足首を負傷したからだ。

 出てほしいとは思っていたけど、こんなに早く?――。思わぬ事態にスタンドがざわつくなか、ベンチ前に姿を現したのは、もちろん背番号2。内田はピッチに入ると、MF三竿健斗から譲られたキャプテンマークを左腕に巻き、幸か不幸か、前後半のロスタイムも含めれば、80分以上プレーすることになったのである。

「率直に言うと、寂しい。今日のプレーを見ると、まだできるんじゃないかと思ってしまう」

 かつては内田とともに鹿島に在籍し、現在はG大阪でプレーするDF昌子源がそう語っていたように、試合後は敵味方を超えて、両チームの監督、選手から内田の引退を惜しむ声が聞かれた。この日のプレーを見せられれば、誰だってそう思うに決まっている。