ジーコが緊急来日前に決意を激白「いまアントラーズに伝えたいこと」 (2ページ目)

  • リカルド・セティオン●文 text by Ricardo Setyon
  • 利根川晶子●翻訳 translation by Tonegawa Akiko

「鹿島に常勝軍団の面影なし。不振の原因」はこちら>>

「最初の数試合で連敗したことを私はそれほど重くとらえてはいない。実際、翌週は横浜F・マリノスに4-2で勝利した。本来あるべきチームの姿に戻りつつあると思う。特に憂うような状況ではないはずだ。ただ、もっと頑張らなければならないのは確かだ。アントラーズは日本で一番強いチームでなければならない」

 ジーコは再開後の不調は一時的なものと捉えている。

「みんなこれまで何カ月も個別のトレーニングをしてきただけで、チームの全体練習ができるようになったのは最近だ。それまではコーチのきめ細かな指導もなかった。だから普通ではありえないような動きや、単純なパスミスもしているのが見て取れた。連敗が続いたのは、チームとしてまだ本格的に機能していなかったからだろう、フィジカルもまだ最高の状態ではない。だが、私は楽天的だ。彼らが勝つ力を持っているのは知っている。トップに君臨出来る力も十分にある。スタッフも優秀な者がそろっている」

 サポーターの不在もプレーに響いたのではないかとジーコは考えている。

「鹿島の選手は大勢のサポーターの声援を受けてプレーするのに慣れている。サッカーをしたことがない人にはわからないかもしれないが、声援の多寡はプレーに大きく影響するものだ」

 そんなチームに、ジーコは新たなモチベーションを与えたいと思っている。

「私ひとりが来たからといってチームを即座に変えることはできない。しかし、何らかの力を与えることはできるはずだ。勝利への道を一緒に模索していきたい」

 ジーコが一番懸念していたのは、チームが負のスパイラルに陥っていないかということだ。

「長年日本人と接していると、日本人は極度に間違えることを恐れていると感じる。なんでも完璧にしたがる。だから、いつもと違う形のサッカーにはトラウマを感じるのかもしれない。しかし、それは違う。今はサッカーが帰ってきたことが一番重要な事実だ。

 サッカーでは心の持ちようがプレーに影響する。精神面は最も重要なもののひとつだが、日本人はその比重が倍だろう。悪いスタートを切ったら、なかなか軌道修正をすることができない。これは日本人の文化的な背景にもよる」

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