鹿島・上田綺世のユニークなコメント力。オンライン会見でも存在感 (2ページ目)

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko
  • 佐野美樹●写真 photo by Sano Miki

 リモート会見に出席するのは、両チームから監督と選手2人の合計6人。一度に登場するのではなく、ひとりずつ順番に行なわれる。従来の記者会見やミックスゾーンでの取材に比べて、試合を終えたばかりの選手が発する空気感は伝わってこない。そのぶん、ひとつひとつの言葉は重みを増す。

 21歳の上田は、これまでは自分の状態がよくなかったので出場時間が短かったこと、得点が勝利につながった喜び、そして今後への反省点を、それぞれ簡潔にまとめた。

 また、「チームがうまくいかない中で、期するものがある初先発だったのでは?」という質問に対しては、自分の意気込みを面白い表現で説明した。

「何かを変えてやろうというよりは、"点を取る"の一択でした。やってきたことが間違っていないということは、得点でしか証明できない」

 他の選択肢はなくて「一択」だというストライカーの言葉は、フレッシュに響いた。どうしても点を取りたい気持ちをこんな風に表現するのは、上田特有のボキャブラリーなのだろう。

 そして最後に、スタジアムを訪れた3090人の観客に感謝を述べた。

「観戦にはリスクもあったと思うけど、リスクを背負ってでも見に来てくれることに感謝の気持ちがあった」
 
 試合後のオンラインでの取材が続けば、これまで以上に言葉のセンスやパンチのあるコメントが注目されるだろう。上田は存在感を示したのはピッチの上だけではなかった。

 復活のきっかけをつかんだ鹿島は22日、湘南ベルマーレと対戦。勝つためにはやはり得点が必要だ。

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