2020.06.09

「ホームグロウン卒業生」で編成。
最も強そうなJクラブはどこだ

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki
  • photo by Kyodo News

 さて、ここまでHG制度の現状について見てきたが、この規則の面白いところは、ひとりの選手が複数のクラブでHG選手になりうる(条件を満たせる)、という点だ。

 つまり、12歳から21歳までの10年間で、合計3年間所属すればいいのだから、理屈のうえでは、最大3クラブでHG選手の条件を満たすことが可能になる。仮に、中学3年間は横浜F・マリノスのジュニアユースチームに、高校3年間は横浜FCのユースチームに所属し、高校卒業後は湘南に入ってトップチームで3年間プレーした選手がいたとすれば、その選手は3クラブのいずれに属したとしても、HG選手として登録できることになる。

 実際、今回Jリーグから発表されたHG選手のなかには、他クラブでもHGの条件を満たす選手が存在する。たえば、広島のHG選手である荒木隼人(広島ユース出身)は、小中学時代はガンバ大阪のアカデミーに、名古屋グランパスの青木亮太(流通経済大柏高出身で3年以上プレー)にしても、同じく東京ヴェルディのアカデミーに所属していた。

 現在、J1クラブの登録選手のなかには、さすがに3クラブでHGの条件を満たす選手はいないようだが、2クラブでとなると、それほど珍しいものではない。制度の本来的な意味から言えば、ひとりの選手が複数のクラブでHG選手になりうることは、ある種の矛盾をはらんでいる気もするが、あまり条件を厳しくすると、実際の運用が追いついてこないことにもなりかねないのだろう(注:本稿におけるHG条件を満たすか否かは、Jリーグ発表による各選手の所属歴から判断しており、厳密に登録日数を確認したものではない)。

 また、自クラブで育成期間を過ごしながら、現在は他クラブでプレーしている選手、いわば、"HG有資格者"が相当数いるのも間違いない。HG有資格者は、現行の制度下では自クラブの成果と見なされないのだとしても、広くJリーグ全体の強化という視点に立てば、そうした選手を数多く輩出しているクラブの貢献度は高いと言えるだろう。