年齢詐称していたエメルソン。来日しなければ選手生命が終わっていた
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あのブラジル人Jリーガーはいま
第5回エメルソン(前編)>>後編を読む
エメルソンという通称は、彼の本名とはまるで関係がない。彼の本名はマルシオ・パッソス・ジ・アルブケルケ。しかし、それならなぜ彼はエメルソン・シェイクを名乗っているのか?
その理由は、そのまま彼のサッカー人生を物語っている。
2000年から2005年までJリーグでプレーしたエメルソン photo by Yamazoe Toshio エメルソンは典型的なブラジル人プレーヤーだ。上下水道もまともにそろっていないファベーラ(スラム)で生まれ育ち、ごみと石ころだらけの道でサッカーを始め、ボールや靴を持ったのはかなりあとになってからだ。貧しいからこそ、彼には夢があった。いつかプロのサッカー選手になって、今の境遇から抜け出すことだ。
エメルソンは確かに生まれ育った町では抜群にサッカーがうまかった。だが、ブラジルにはサッカーのうまい少年はゴマンといる。そのなか頭角を現すのは至難の業だ。ブラジル代表で10番を背負ったライーでさえ、ユースのチームに入る前にテストに7回も落ちている。エメルソンもいろいろなチームのテストを受けたが、受け入れてくれるチームはなかった。
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