2020.06.10

年齢詐称していたエメルソン。
来日しなければ選手生命が終わっていた

  • リカルド・セティオン●文 text by Ricardo Setyon
  • 利根川晶子●翻訳 translation by Tonegawa Akiko

あのブラジル人Jリーガーはいま
第5回エメルソン(前編)>>後編を読む

 エメルソンという通称は、彼の本名とはまるで関係がない。彼の本名はマルシオ・パッソス・ジ・アルブケルケ。しかし、それならなぜ彼はエメルソン・シェイクを名乗っているのか?

 その理由は、そのまま彼のサッカー人生を物語っている。

2000年から2005年までJリーグでプレーしたエメルソン photo by Yamazoe Toshio エメルソンは典型的なブラジル人プレーヤーだ。上下水道もまともにそろっていないファベーラ(スラム)で生まれ育ち、ごみと石ころだらけの道でサッカーを始め、ボールや靴を持ったのはかなりあとになってからだ。貧しいからこそ、彼には夢があった。いつかプロのサッカー選手になって、今の境遇から抜け出すことだ。

 エメルソンは確かに生まれ育った町では抜群にサッカーがうまかった。だが、ブラジルにはサッカーのうまい少年はゴマンといる。そのなか頭角を現すのは至難の業だ。ブラジル代表で10番を背負ったライーでさえ、ユースのチームに入る前にテストに7回も落ちている。エメルソンもいろいろなチームのテストを受けたが、受け入れてくれるチームはなかった。