永井秀樹が明かす、コロナ危機にオンラインで伝えたヴェルディの戦術 (5ページ目)

  • 会津泰成●文 text by Aizu Yasunari
  • 本人提供●写真

 新しいことに挑戦すればするほどミスも出るし、最初はうまくいかないこともあるかもしれない。永井はそれでも、オンラインミーティングで繰り返し、「失敗を恐れず、皆で新しいヴェルディサッカーを作ってほしい」と話し続けた。

「選手たちにはいつも『サッカーの内容や質にこだわる理由は、結果を出すため』と話している。試合に負けているのに、『いや、今日は内容よかったから、オッケー』なんていうのは、プロでは通用しないことは、自分が一番よくわかっている。でも、プロである以上、勝ち負けだけではなくて、サッカーの本質の部分、エンターテインメントの部分も忘れてほしくない。

 これまで当たり前にあった週末のJリーグがなくなった。観客と共に感動を分かち合うことができなくなってしまったことで、選手も、スポーツのエンターテインメント性、感動できるすばらしさを、よりリアルに実感したはず。

 ファン、サポーターの方が『ほんとにこの試合を観てよかった、面白かった』と感じてもらえるように表現することが仕事。尊敬するヨハン・クライフは『結果と娯楽性は車のタイヤの両輪のように回らないといけない』と語っていたけれど、見て楽しい、面白い、そして感動できる、というエンターテインメント性と内容(質)そして結果。この3つにこだわり続けることの大切さを、今回の中断期間に、自分もあらためて考え直した。

 感動、質、結果の追求はすべて同じように大切であり、自分が求めていること。それを逆に何人かの選手達から問われたりもした。自分が考える以上に、選手たちは、今取り組んでいるサッカーに対して手応えを感じてくれている。それは自信につながったし、ブレずに追求し続けなければいけないと、覚悟を新たにした」

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