大久保嘉人が「中盤をやらせてください」と監督に直訴した理由 (5ページ目)

  • 佐野美樹●取材・文 text by Sano Miki
  • photo by ©TOKYO VERDY


 マジョルカに在籍していた約1年半で、大久保は39試合に出場し、5得点を挙げている。しかし思い返せば、悔しい思い出のほうが多いと話す。

「試合に出ても、途中出場が多かったので、やっぱりスタートから出たい気持ちは強かったです。とにかく『試合に出るためには』とか『どうしたらチームに貢献できるのか』ということだけを常に考えて、チャレンジもいっぱいしました。

 ただ、そういう経験が自分の考え方を大きく変えてくれた。それまでは『絶対自分はやれる』っていう気持ちが強くあった。だからもし、そのまま日本にずっといたら、『悔しさ』とか『貪欲さ』に気づけていなかったと思うんです。気づかないまま、たぶんどこかで終わっていた。

 試合に出続けていたとしても、いつかは絶対、ズドーンと落ちる時がくる。でも、その時には反骨心もないだろうし、たぶん這い上がることはできなかったんじゃないかな。今こうやって選手を続けていられるのも、スペインでの経験があったからだと思っています」

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