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小さなクラブ・ヴァンフォーレ甲府が見せた、2005年の大きな奇跡 (2ページ目)

  • 中山 淳●文 text by Nakayama Atsushi
  • photo by Kyodo News

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「プロサッカーはエンターテインメント」とは、大木監督が当時よく口にしたフレーズだが、たとえばそれは02年に日本で初めて4-2-3-1を導入したことにも表れていた。J2だったこともあってあまり注目されなかったが、トルシエジャパンの影響で3バックのシェアが国内に広がるなか、その攻撃サッカーは先進的に見えた。

 05年のチームもそうだった。4-4-2でチームづくりを進めながら、02年同様、シーズン途中に戦術変更。まだ3バックが主流のJリーグにおいて、当時ヨーロッパで流行り始めていた4-3-3を採用すると、それが見事に的中した。攻撃サッカーが席巻していた当時のヨーロッパのトレンドを、いち早く取り入れた格好だ。

 その集大成が、柏との入れ替え戦だったと言える。甲府ホームの第1戦は、先制を許しながら、藤田健と共にインサイドハーフでゲームをつくる倉貫一毅が同点弾を決め、後半早々に1トップのバレーが逆転ゴール。リード後は個々の実力で勝る柏の反撃に苦しんだものの、なんとか先勝することに成功した。後半アディショナルタイムには前代未聞の"停電事件"が発生したが、振り返れば、そのハプニングもおとぎ話の一部と言える。

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