名古屋のフィッカデンティ監督がテストする「驚き」の新布陣とは (2ページ目)

  • 飯尾篤史●取材・文 text by Iio Atsushi
  • 六川則夫●撮影 photo by Rokukawa Norio


 さらに印象的だったのが、ハイプレスだ。

 山崎と阿部が守備のスイッチを入れ、サイドハーフや米本、稲垣祥の2ボランチが連動して追い込んで奪い取り、ショートカウンターを繰り出した。

「この時期だから、あえて行き過ぎなくらいにやっていた。もうちょっと修正しないといけない部分はありますし、相手との力関係による部分もあるかもしれないですけど、感触としては割とよかったと思います」と、阿部は振り返った。

 20分が過ぎた頃からペースが落ち、前半終了間際にはミスから失点。後半はメンバーを大幅に変えたこともあり、チャンスはほとんど作れなかったが、これは仕方のない面もある。1月12日の始動日から1日もオフのない状態。しかも、タイ入りした22日から2日間は2部練習で走り込んでいるからだ。

「今日は、どういうサッカーをやろうとしているのか、示そうと。足が動くところまででいいから、全力でプレスをかけようと話していた。相当走り込んでいるので、逆に今走れたら困る(笑)。公式戦が近づくにつれて長い時間できるようになり、最終的には90分できるようになる」

 フィッカデンティ監督は、焦りなさんな、と言わんばかりに自信をのぞかせた。

 それにしても思うのは、今季の補強の確かさだ。いずれもフィッカデンティ監督のスタイルにマッチする選手たちなのだ。

 湘南ベルマーレから獲得した山崎は1トップに入り、自慢の脚力でプレスの先鋒役となると同時に、ポストワークでポイントを作り、空中戦でも存在感を示していた。

 中盤には、ボールを刈り取る能力ではJ1トップクラスの稲垣(前サンフレッチェ広島)を補強。米本との2ボランチは即時奪還を掲げる今季において、強力な武器になりそうだ。

 リーグ屈指のスピードスターであるマテウス(前横浜F・マリノス)と相馬(前鹿島アントラーズ)のふたりは、間違いなくワイドアタックの鍵を握る存在だ。

 そして、最重要人物が、川崎フロンターレからやって来た阿部だろう。

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