2020.01.14

名門復活。逆転Vの静岡学園の
「異質なサッカー」は革命的だ

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • 高橋学●撮影 photo by Takahashi Manabu

 2-0となった時点で、勝負はおおかた決したように思えた。まだ試合は60分近くも残されていたが、それまでの時間のパフォーマンスを見るにつけ、両者の力の差がはっきりと感じられたからだ。

 もちろん優っていたのは2点を先行した青森山田(青森県)のほうだ。

革命的なサッカースタイルで頂点を掴んだ静岡学園 激しいプレッシャーで相手の出足を封じ、局面の争いでも上回った。くさびが入ればふたり、3人ですぐさま囲い込み、相手のストロングポイントであるドリブルを発動させない。11分に得意のセットプレーから先制点を奪うと、33分には敵陣でボールを奪ってPKを誘発し、エースの武田英寿が追加点をマーク。理想的な展開で2点のリードを奪ったのだ。

 一方の静岡学園(静岡県)は、まるでいいところがなかった。青森山田のプレッシャーの前に、持ち前の攻撃スタイルを示せなかった。ドリブルを仕掛けても引っかけられ、縦パスを入れてもあっさりとカットされてしまう。頼みの綱であるエースの松村優太も、相手の厳しい対応を受けて沈黙した。

 警戒していたはずのセットプレーで早々に先制点を奪われ、ビルドアップのミスを突かれてPKを献上。今大会無失点を続けていたチームが成す術がないまま2点のビハインドを負ったのだから、もはや勝ち目はないように思えた。

 とりわけ、厳しいと感じられたのは攻撃面だった。準決勝の矢板中央(栃木県)戦ではドリブルを軸に一方的に押し込んだが、そのストロングポイントがまるで通用しなかった。今年のプレミアリーグを制した青森山田のプレッシャーやプレー強度の高さは、おそらく静岡学園の選手にとって経験したことのないようなレベルだったに違いない。

「(両サイドの)松村だったり、小山(尚紀)がドリブルしても突破できなくて、中盤もあまりボールを触れなかった。前半は青森山田の気迫に負けていたのかなと思います」

 キャプテンの阿部健人は、守勢に回った前半をそう振り返った。

 相手のレベルの高さへの戸惑いに加え、大舞台でプレーする重圧もあったはずだ。この日、埼玉スタジアムには大会史上最多となる56,025人の大観衆が詰めかけていた。ここ4大会で3度目の決勝進出となった青森山田に対し、静岡学園は24年ぶりである。