淡白さが消えたFC東京。執念のドローをハッピーエンドにつなげたい
これが優勝を争うチームの重圧だろうか。
6連敗中で残留争いに苦しむ湘南ベルマーレをホームに迎えた一戦。FC東京のパフォーマンスからは、キレや勢いといったものが感じられなかった。
森重真人の執念のゴールでFC東京は引き分けに持ち込んだ「僕もそうだけど、チームとして硬くなってしまっていた」
キャプテンの東慶悟が明かしたように、平常心で臨むことが難しい試合であったのだろう。残り3試合の段階で再び首位に立ち、悲願の初優勝が目前に迫るなかで平静にプレーするのは、たとえプロであっても簡単なことではないのだ。3カ月ぶりのホームゲームという舞台装置も、あるいは気負いを促す一因となったかもしれない。
「代表組がいつもよりも疲れがあるかな、というのは否めない」
長谷川健太監督が指摘したように、永井謙佑、橋本拳人、室屋成の日本代表トリオが、疲労により普段どおりのパフォーマンスを発揮できなかったことも、原因のひとつである。
ただし、FC東京が苦しんだのは、湘南の対策がうまくハマったことが最大の理由だろう。
「相手の2トップはすばらしいスピードを持っていて、はっきりした特徴がありました。それに対して、スペースを消して引いて守るのか、ハイラインで制御しながら戦うのか。我々のサッカーとしては、引いて守らずにラインを上げて制御したほうが勝ち点を取れると考えました」
湘南の浮嶋敏監督は、FC東京対策をそう明かしている。
立ち上がりこそ室屋の攻め上がりをきっかけにいくつかチャンスを作ったFC東京だったが、その後は湘南の高いラインの対応に攻め手を失った。
最大のストロングポイントである、永井とディエゴ・オリヴェイラの2トップのスピードを生かすフィードも供給できない。相手がハイラインであれば背後のスペースを突きやすい状況であったのだが、前から奪いに来る湘南の守備に対し、出し手側からのフィードが困難となったのだ。
攻め手を失うだけでなく、自陣でのパスミスも頻発させると、36分には悪い形でボールを失い、先制点を奪われてしまう。湘南の術中にハマったFC東京は、完全に負けパターンに陥っていた。
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