難病のFC岐阜前社長がJ3降格も「県に必要なクラブになった」とエール
FC岐阜前社長・恩田聖敬
Jリーグクラブへの伝言 2019特別編
前編~昇降格とクラブライセンス~
『FC岐阜J3降格』。
ついにこの日がやってきました。
スポルティーバの読者の皆様、ご無沙汰しております。FC岐阜を運営する、株式会社岐阜フットボールクラブの前社長で、現在は株式会社まんまる笑店の社長を務める、恩田聖敬です。ALS(*筋萎縮性側索硬化症)を罹患しております。
今シーズンFC岐阜の全試合を見に通い詰めた長良川競技場にて
『FC岐阜』と『降格』。この二つは一心同体のような関係です。具体的に歴史を振り返ってみましょう。
J2リーグが今の形、つまり全22チーム42試合となったのは2012年シーズンからです。またこの年から、下部リーグ(2012年、2013年はJFL、2014年からはJ3)との入れ替え制度が始まりました。
J2の下位2チームが降格対象となり得るのですが、制度が導入された後のFC岐阜の順位は、21位、21位、17位、20位、20位、18位、20位、そして今シーズンが最下位22位と、8年間で6度もギリギリの残留争いを演じています。社長が変わっても、監督・コーチが変わっても、選手が変わっても、残留争いをすることになるのは一向に変わりません。
まずは、勝点について見てみましょう。サッカーにおいては勝ち=3点、引き分け=1点、負け=0点という方式で順位が決まります。FC岐阜が残留すれすれの20位となったのは3回ありますが、その勝点は43、43、42です。つまり42試合全て引き分ければ残留が可能です。毎年残留争いをしているので、残留への勝ち点ラインも熟知しています(笑)。
ところで、一昨年まではJ2の最下位と下部リーグの1位は自動入れ替えで、J2の21位と下部リーグの2位は入れ替え戦を行ない、下部リーグのチームが勝てば入れ替え、というレギュレーションでした。しかし、FC岐阜は21位が2回もあったにも関わらず、入れ替え戦を戦わずしてJ2に残留しています。これにはいわゆるクラブライセンス制度が関係しています。
Jリーグにおいて上位のリーグに上がるには、よい戦績を残すだけではダメで、各リーグに対してJリーグが定めた、各リーグにふさわしい練習環境やスタジアムの観戦環境を満たし、Jリーグから上位リーグのライセンスを発行してもらう必要があります。
FC岐阜が21位だった時、下部リーグ上位2チームでJ2のライセンスを持ったチームはいずれも1チームだけだったので、ライセンスを持たないチームはJ2昇格、もしくは入れ替え戦を戦う権利を与えられず、運良くFC岐阜は残留します。
私が社長に就任した2014年当時、FC岐阜はJ1ライセンスを持っていませんでした。結果を残したチームが上へ上がる権利を与えられない、そんな酷い結末はあり得ないと私は思いました。
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