2019.11.12

マンガのようにパスがつながる。
永井秀樹とヴェルディの理想が現実に

  • 会津泰成●文・撮影 text&photo by Aizu Yasunari

永井秀樹 ヴェルディ再建への道
トップチーム監督編(8)

(7)はこちら>>

この試合でハットトリックを達成した小池純輝

FC琉球戦で見せた
理想の「美しいサッカー」

 2019年10月12日(土)の、FC琉球戦。台風19号は本州各地で猛威を振るい甚大な被害をもたらしていた。それでも、試合会場のタピック県総ひやごんスタジアムには、前日入りした多くのヴェルディサポーターが応援に駆けつけ、スタンドで緑のフラッグを振っていた。

 永井は、ケガで離脱の山本理仁(りひと)の代わりに、リベロのポジションに梶川諒太を初起用した。フロントボランチには負傷明けの井上潮音とクレビーニョ。フリーマンには、普段はフロントボランチの森田晃樹を置いた。

 また、右のサイドアタッカーは、7月31日以来の先発となる澤井直人を起用した。この日も「誰が出場しても同じサッカーができることを目指す。どの選手も、2つ以上のポジションができるようになる」という方針に沿ってメンバーを組んだ。

「理仁の離脱はもちろん痛いけれど、梶川をリベロで試してみたい、というのは前から考えていた。澤井にしてもクレビーニョにしても、どんなポジションでもできる能力はあると思うし、実際に、緊張感のある公式戦で経験を積むことで、選手としての幅も広がる。

『ひとりの選手が2つ以上のポジションができる』ということは、我々が目指すサッカーをやるうえでは強みになる。何なら試合中でもいろいろな選手がポジションチェンジを繰り返しながら、より流動的にできるようになりたい。そうすることで、我々の目指す『常に数的優位を維持し、全員攻撃、全員守備。90分間、ボールを持ち続けて、相手を圧倒して勝つ』という、トータフルットボールに近づくと考えているから」

 台風の影響から沖縄でも強い風が吹いていた。

 試合前のコイントスで、永井はエンドを風上に変更した。これも、この日の勝敗を分ける鍵のひとつになったのかもしれない。

 FC琉球も、ヴェルディ同様にボールを保持して戦うスタイルを目指していた。序盤は中盤での攻防が続き、ボール支配率は、ほぼ互角の展開になった。しかし、相手の最終ラインまでプレッシャーをかけ、フィニッシュまで組み立てる質の高さは、ヴェルディのほうが数枚上手だった。