2019.10.29

中村俊輔が743日ぶりのゴール。
ベンチ外の観察で「答え」を見つけた

  • 会津泰成●文・撮影 text&photo by Aizu Yasunari

 今年7月、41歳で新天地となるJ2の横浜FCに移籍した中村俊輔が743日ぶりにゴールを決めた。

 10月27日(日)、J2第38節の横浜FC対東京ヴェルディ。前半26分、右サイドにいたDF北爪健吾からのアーリークロスに合わせたFW皆川佑介が、ヴェルディ守備陣をブロックしながらボールを落とすと、6試合ぶりに先発出場した中村が、自慢の左足を豪快に振り抜いて、ボールをゴールネットに突き刺した。

全盛期を彷彿とさせるゴールを決めた中村俊輔 試合後、中村は「ミナ(皆川)の落としがすべてです」と、自分がゴールを決めたことよりも、アシストした皆川に感謝したが、空いたコースを見逃さず正確無比に決める世界基準の技術は、未だ衰え知らずということを証明した。

 1999年、2000年の横浜F・マリノス時代にトップ下でコンビを組んだ、対戦チームの東京ヴェルディ・永井秀樹監督も「中村俊輔が改めてすばらしい選手であるというところを、相手ながらに感じたのが正直な感想です」と称賛した。

 日本代表や海外名門クラブでも長きに渡り活躍してきた中村。しかし、J1最年長選手として迎えた今シーズン、2017シーズンから所属するジュビロ磐田では、出場機会を得られずにいた。

 そんな中、活躍の場を求めてシーズン途中の7月、J2の横浜FCに完全移籍を決断。しかし、自身のキャリアで初めてJ2でプレーすることになった、横浜FCでも葛藤の日々を過ごすことになった。

 シーズン途中の移籍でチームの戦術はすでに固まっており、本来得意とするボールキープと多彩なパスでゲームコントロールする「トップ下」ではなく、周囲にシンプルにパスを供給する「ボランチ」を任されたこともあって、「中村俊輔らしさ」は思うように発揮できずにいた。

「チームとしての戦術があるので、それに対して自分をどう落とし込むか。その作業をした上で、自分のよさをどう出すか。ずっとそれで格闘していた」

 中村は、この日まで5試合連続でピッチに立てず、直近2試合ではベンチからも外れていた。しかし、その間に横浜FCという新たなチームを客観的に掴み、自らをフィットさせる術を見出していた。