F・マリノス、逆転優勝の重要なカギは「特別な選手」仲川輝人にアリ (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by Kyodo News

「(終了間際に失点したが)90分、ほとんど自分たちがゲームをコントロールし、チャンスを作れた」

 ボランチのMF扇原貴宏がそう語ったように、横浜FMは攻撃から守備への切り替えも早く、ボールを失っても高い位置ですぐさま奪い返すことができていた。まさに横浜FMらしい内容で、完全に試合を支配した。

「勝つことも大事だが、自分たちがやろうとしているサッカーで勝ちたい。それができずに勝ってもうれしくない」

 そう語る横浜FMのアンジェ・ポステコグルー監督も、この試合については絶賛だった。

「試合開始からとても強いパフォーマンスを出せ、F・マリノスらしいサッカーを見せられた」

 先制点を奪ったのは前半39分と、少しばかり時間がかかった。しかし、その後は後半7分、23分に追加点。苦境から脱しようと必死で向かってきた湘南を、内容、結果の両面で圧倒しての勝利だった。キャプテンのMF喜田拓也が語る。

「質の高い練習もしているし、(自分たちのサッカーを)自信を持ってやるだけ。(首位に迫ったとはいえ)何位にいてもやることは変わらない」

 優勝争いが佳境を迎えるシーズン終盤、横浜FMがチームとして極めて完成度の高いサッカーを遂行できていることは間違いない。

 だが、今の横浜FMが優れた試合内容を結果に結びつけることができているのは、最終局面で決め手を持つ選手がいるからだろう。

 FW仲川輝人である。

湘南戦でも貴重な先制ゴールを決めた仲川輝人湘南戦でも貴重な先制ゴールを決めた仲川輝人 右ウイングとして、キレッキレのドリブルで相手守備網を破ることのできる仲川だが、とりわけ彼の危険性が増すのは、ボックス内、すなわちペナルティーエリア内である。相手DFの動きを見て、シュートを打てるタイミングやコースを作り出すのが抜群にうまいのだ。

 この試合で仲川が決めた先制ゴールも、実に巧みなシュートから生まれている。

 右サイドからペナルティーエリア内に入り、中央の喜田からパスを受けた仲川は、ボールを一歩分だけ左に動かすと、目の前のDFが足を伸ばす前に左足を小さく振り、フワリと柔らかいボールを、GKの手が届かない絶妙なコースへと送り込んだ。

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