浦和レッズは強いのか、弱いのか。はたまた典型的な「外弁慶」なのか (2ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

 対アジアでの強さをあらためて示した浦和が、その勢いを国内の戦いにも持ち込めるのか――。その勝利から4日後の10月6日、同じ埼玉スタジアムでJ1リーグ第28節・清水エスパルスとの戦いに臨んだ。

 しかし国内の戦いでは、やはりもろさが先に出てしまった。19分、警戒していたはずのロングスローからドウグラスに決められて、あっさりと先制点を献上してしまったのだ。

 ところがこの日の浦和は、これまでとはひと味違った。

 前半終了間際に突如、攻撃の圧力を強めると、一方的に相手を押し込み、アディショナルタイムに興梠慎三が同点ゴールを奪取。後半に入っても勢いは止まらず、75分に橋岡大樹が鮮やかなボレーを叩き込み、逆転に成功する。その後の清水の猛攻も、身体を張った守備でしのぎ切り、リーグ戦では9試合ぶりとなる勝ち点3を手にした。

 広州恒大戦の快勝が、ひとつのきっかけとなったのは間違いないだろう。

「前回(広州恒大戦)できて、今日できないのはあり得ないということは、試合前に言い合った」

 西川周作が振り返ったように、選手全員に備わる危機感が逆転勝利の要因となった。これで浦和は勝ち点を35に伸ばし、10位に浮上。ひとまず、残留争いから一歩抜け出している。

 アジアの頂点を争うようなチームが、国内リーグで苦戦を強いられる原因はどこにあるのか。カップ戦とリーグ戦では、戦い方に違いがあることは確かだろう。

 負ければ終わりのカップ戦には、ある意味で失うものがないから、開き直った戦いができる。逆にリーグ戦は敗れても、戦いは続く。その負の流れを断ち切れなければ、降格という悲劇が待ち受ける。だからプレーが委縮し、受け身になり、保守的になってしまう。

 そんな見立てを西川にぶつけると、浦和の守護神は「強いて違いを挙げるなら」と前置きしたうえで、次のように答えてくれた。

「規律がしっかりしているのがJリーグかなと思います。アジアは疎(おろそ)かになる場面がたくさんありますし、隙という部分ではアジアのほうがある。Jリーグの難しさは、徹底してやってくることですかね」

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