首位柏が横浜FCに敗れてJ2も混戦だ。J1昇格争いのカギは「粘り」
J2首位の柏レイソルと3位の横浜FCが、J1昇格を巡っての攻防戦を演じている。それは今シーズンの「混戦J2」を象徴するような一戦だった。両者、どちらが勝ってもおかしくなかった。
「安易に相手の攻撃を受けないようにしました。受けに回ってしまうと、相手のストロングが出る。それを出させないように、というプレーができたと思います」(横浜FC・下平隆宏監督)
お互い、どこまで持ち味を消せるか。体力、気力をそのために費やしながら、一発を狙う。ジリジリしたまま時間が過ぎた。90分間の消耗戦だ。
何が勝負を左右したのか――。その要素は、混迷J2の行方を占うものにもなりそうだ。
首位柏レイソルとの一戦を草野侑己の劇的な決勝ゴールで制した横浜FC 10月6日、ニッパツ三ツ沢球技場。横浜FCは柏を本拠地に迎えている。最近は16試合負けなし。首位相手でも、少しも怯むことはない。試合序盤は敵陣に攻め込み、何度もセットプレーのチャンスをつかんでいる。
しかし、地力で勝る柏も押し返した。ケニア代表FWオルンガをめがけてボールを蹴ると、そこが起点になった。オルンガは大きな体躯と長い手足を生かし、横浜FCのディフェンスラインに脅威を与えた。
横浜FCはやや劣勢に追い込まれるが、粘り強く対応した。
「選手がやることに自信を持てるようになりました。サイドに(相手のマークを)はがせる選手(松尾佑介、中山克広、斉藤光毅など)がいるし、前には試合を決められるイバ、レアンドロ(・ドミンゲス)の2人がいますしね。そして守備もかなりよくなってきました」(横浜FC・南雄太)
40歳になるGK南を筆頭に、横浜は攻守に老練さを見せる。柏のメンバー18人より、平均は約6歳も上。伊野波雅彦、松井大輔など日本代表としてワールドカップも戦った選手たちは、勝負の勘どころを知っている。
躍進のキーマンになっているのはレアンドロ・ドミンゲスだろう。2011年に柏でJリーグMVPに輝いたレアンドロも36歳になったが、コンディションをキープ。今シーズンは、"J2のイニエスタ"のような貫録を漂わせ、ビジョンとキックの質は際立っている。
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