橋岡大樹が放ったインパクト。20歳の反骨心が低迷レッズを救う (2ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

 勝ち切ることはできなかったとはいえ、2試合合計スコアは3-3。アウェーゴールの数で上回り、2度目のアジア制覇を成し遂げた2017年以来、2年ぶりのACLベスト4進出を果たした。

 勝ち抜けの立役者が興梠であることは間違いない。先制ゴールはもちろん、その後も鋭い動き出しでラインの裏を取り、幾度となく決定的なチャンスを迎えている。

 第1戦でもゴールを決めたストライカーは、敵将も「苦しめられた選手」として、その名を挙げている。足の痛みから力が入らず、「いつ代えてもらおうか」と考えていた状態だったにもかかわらず、エースとしての責任を全うし、最後までピッチに立ち続けた。その興梠の姿勢こそが、この試合にかける浦和の想いを象徴していたようだった。

 もちろん、興梠だけではない。アルナウトビッチを完封した鈴木大輔、中盤で守備に奔走しながら展開力も示したエヴェルトン、身をていしてピンチをしのいだ槙野智章も殊勲者のひとりだろう。

 そしてもうひとり、目を引いたのが、右サイドで躍動した橋岡大樹である。東京五輪世代である20歳のウイングバックは、監督が求めた「前に出る」姿勢を最も体現した人物だった。

 スペースに果敢に飛び出し、右サイドからの攻撃に厚みをもたらすと、隙を見てはカットインから強烈なショットをお見舞いする。セットプレーではその高さを生かし、あわやというシュートも放っている。西川周作のゴールキックのターゲット役としても、十分に機能していた。

 とりわけインパクトを放ったのは、同点に追いつかれた直後の61分のプレー。果敢に前に飛び出してエリア手前でボールを受けると、左足を強振。シュートは惜しくもバーに阻まれたものの、上海上港の肝を冷やす一撃だった。

 本来はCBの選手である。ジュニアユースから浦和に在籍する生え抜きで、トップ昇格後はウイングバックを主戦としているものの、その特長は対人プレーの強さを生かした守備にある。だからウイングバックであっても、より守備的なイメージを備えた選手と言えるだろう。

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