巻誠一郎がブラジルのレジェンドから学ぶ「多様なセカンドキャリア」 (2ページ目)

  • 鈴木智之●文 text by Suzuki Tomoyuki
  • photo by aiwell

 選手の育成をされていますが、より良い選手になるために必要なものは、何だと思いますか?

エジミウソン 何よりも重要なのはタレント(才能)です。巻さんもわかると思いますが、パッと見て「この子、いいな」と思うことはありますよね?

 はい、あります。

エジミウソン タレントがあったとして、センターバックの選手を例に挙げると、理想は180cm以上の身長になること。そのために、将来的に身長が伸びる可能性があるのかも、見極める必要があります。なぜなら、彼らはプロを目指すアスリートの原石だからです。彼らがトップアスリートの高みに到達できるかどうかは、シビアな目で見て判断していかなければいけません。

 エジミウソンさんは現役時代に色々なチームでプレーされていますが、選手の見極めに優れていると感じたチームはどこでしょうか?

エジミウソン 一番はサンパウロ FC です。選手のフィジカル、コンディションデータを採り、トップレベルに到達するために何が必要かを、選手一人ひとりに細かくアドバイスしてくれました。いまはリヨンやバルセロナもすばらしい環境、設備が整っていますが、20年前にそのようなことをしていたのだから驚きです。それも、選手の能力をトップレベルまで高めるためにやっていたのだと思います。いまでは当たり前のことですが、20年前に世界最先端の育成環境が整っていました。

 サッカー面で、多くを学んだのはどのクラブですか?

エジミウソン バルセロナでプレーしたことは、私のサッカー観に大きな影響を与えました。多くのクラブは、監督が変わればサッカーが変わります。しかし、バルセロナにはベースとなるスタイルがあり、そこに監督のエッセンスが加わります。ボールを保持し、ゴールを目指すスタイルは、監督が変わっても基本は同じです。スタイルが明確だからこそ、選手の獲得も含めて明確な戦略が描きやすい。それはプレーしていて学んだことです。

2 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る