2019.09.10

巻誠一郎がブラジルのレジェンドから
学ぶ「多様なセカンドキャリア」

  • 鈴木智之●文 text by Suzuki Tomoyuki
  • photo by aiwell

 エジミウソンと巻誠一郎。共にW杯戦士であり、元ブラジル代表のエジミウソンは、ワールドカップとUEFAチャンピオンズリーグの両方で優勝した、数少ない選手のひとりでもある。両者とも現役引退後、ビジネスと社会貢献に精を出し、子どもたちの育成のほか、社会環境の改善にも取り組んでいる。そんな彼らが「セカンドキャリア」をテーマに対談の機会を持った。トップアスリートだった彼らは、現役時代に培ったものを次のステージでどのように活かしていくのか?

選手の育成で大切なのは人間形成

 今回はセカンドキャリアについて、話をさせてもらえればと思います。私はサッカー、教育、医療、介護などさまざまなジャンルを通じて、社会に貢献できればと思い、セカンドキャリアを始めました。医療ではaiwellという会社の社外取締役として、『未病』(注:病気を未然に防ぐこと)にアプローチする活動に取り組んでいます。エジミウソンさんは、引退後はどのような活動をされているのでしょうか?

エジミウソン 現役時代に立ち上げたエジミウソン財団の活動と、バルセロナ、フランスのリーグ・アンのアンバサダーをしています。さらに、動画によるサッカーの分析ソフトウェアの開発にも携わり、今年から「FCスカイ ブラジル」というプロ選手育成のサッカークラブを設立し、子どもたちのサポートと選手の育成に携わることも始めました。

サッカー選手のセカンドキャリアについて語った、エジミウソン(写真右)と巻誠一郎(同左)

 財団をはじめ、子どもたちを支援する施設を作り、成長の手助けをするというのはすばらしいと思います。子どもたちの成長をサポートする中で、エジミウソンさんが大事にしていることはなんでしょうか?

エジミウソン 一番は人間形成です。実体験を通じてわかったのは、ただサッカーが上手なだけでは、世界のトップレベルに到達することはできないということです。ブラジルにもいますが、とてつもない才能があるのに、怠け者で努力をしない結果、サッカー以外のことに意識が向いてしまい、ルートから外れてしまう選手がいます。これは非常にもったいないことです。たとえサッカー選手になれなかったとしても、社会に出たときに恥ずかしくないように、目標に向かって自分の人生を進んでいくことのできる人間になってほしい。